老人はマニュアル車に乗るべきか

2022年11月27日 15:27

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3速コラムシフトでローがノンシンクロの1963年式クラウン ©sawahajime

3速コラムシフトでローがノンシンクロの1963年式クラウン ©sawahajime[写真拡大]

  • 電子制御6速オートマチックトランスミッション「CX-7 Cruising」(画像:マツダ㈱)

 東京では放映されていないTV番組「そこまで言って委員会」で、明治天皇の玄孫である竹田恒泰(たけだ つねやす)氏が面白い見解を述べていた。曰く「高齢者はマニュアルミッション車に限定するべき」と。成程この意見には一理あると思わせられた。

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●昔の運転免許

 筆者が免許を取得した1965年には、「AT(オートマチック)限定免許」なんてものは存在せず、MT(マニュアルミッション)のみだった。

 その教習所の教習車両は「クラウン」の3速コラムシフト車だったが、今でも思い出させられるのが、「ローギアがノンシンクロ」の教習車が混じっていたことだ。

 クラウンが「フルシンクロ」になったのが、1964年以降で、1963年式のローがノンシンクロの教習車が数台残っていた。

 『死語になった自動車用語「シンクロメッシュ」』(2019年11月21日付)でも述べたが、63年式のクラウンは、バックアップランプが月の様な形状で、丸いテールランプに接して取り付けられていたので、この車に当たると特に神経を使った。

●2ペダル オートマチック

 その頃のオートマチックは「トヨグライド」の2速が代表格。

 自動車技術会の「日本の自動車技術330選」によれば、『オートマチック時代の到来を予測して開発した日本初のトルクコンバータ付きオートマチックトランスミッション。プラネタリギヤによる変速機構、変速を制御する油圧制御機構で構成されている。通常は2速ギヤで走行し、道路条件に応じて手動で1速にシフトする』とある。(©Society of Automotive Engineers of Japan, Inc.)

 免許取得直後、ライセンスを取得する為にJAF(日本自動車連盟)に加入した程の自動車好きにとっては、そんなAT車に乗ろうとは、全く思わなかった。

●AT車の便利さに一転してAT党に

 カペラは1971年10月にマイナーチェンジし、「カペラGシリーズ」として、4灯ヘッドライトを採用。ロータリー車に初のATである「REマチック」仕様が登場した。

 大阪支社では新車が発売される都度、広報車両として登録し、普段の業務にも使用していたが、「AT車」と聞いて、当初は拒否反応があった。AT車は足が不自由な人向けだとの、思い込みがあったからだ。

 新車登録直後に鈴鹿サーキットへの出張で、従来のミッション車から入れ替わった「REマチック」で行く破目になり、気が進まないままに出掛けたが、先入観は見事に裏切られた。

 加速性能は、ATミッションのセッティングがロータリーに合わせた特性で、0->400m=17.5秒だった。

 何よりも、鈴鹿サーキットのレース終了後の渋滞は激しく、ミッション車ではストップゴーストップの繰り返しは結構くたびれるが、この車は全く疲れなかった。

 それ以来、大のAT党となり、個人保有の車もメインの車種は「RE車のオートマチック」一択となった。

 最近は、オートマチックトランスミッションも長足の進歩を遂げ、多段式のものが普及している。(参考画像2:電子制御6速オートマチックトランスミッション「CX-7 Cruising」)

●AT車は便利だが

 マニュアルミッション車で苦労させられる「坂道発進」での「サイド合わせ(坂道を下がらない様に、サイドブレーキで車を停止させた状態からクラッチを繋いで発進する)」や「クラッチ合わせ(ブレーキから素早くアクセルに踏みかえて発進する)」といったテクニックを習熟する必要も無い。

 しかし、AT車はマニュアルミッション車と較べて、「エンスト」することは原則として無い。

 ミッション車なら、何等かの運転ミスがあれば、先ずエンジンが停止する(エンストする)。だがAT車は、『現代の車はフェイルセーフだ』(2020年12月20日付)で述べた「2019年の東池袋暴走事故」の場合でも、暴走した犯人は、パニック状態でアクセルを床まで踏み続けたに違いない。

 そうなると、「エンジンを切る」か、「ニュートラルにする」かの方法で動力を駆動輪に伝えない以外は止められない。

●どうしても車が必要ならそれなりの運転技量を持つべき

 過疎地帯であったり、どうしても車が必要な人には、マニュアルミッション車を乗りこなせるだけの運転技量を要求すべきかも知れない。

 マニュアルミッション車を乗りこなせなくなったら、免許返上させることが、本人にとっても社会にとっても良いことではないか。

 昔あった遊園地やデパート屋上の電気自動車みたいに、運転席に乗り込むだけで自由に走れることが問題なのだ。

 AT車の誤発進を防ぐ為に、「急加速が必要で、キックダウンして加速しようとする」と、車がセーブするなんて、本来あるべき姿ではない筈だ。

●当面の対策案

 AT車しか乗らないなら、右足はアクセルのみ、左足はブレーキのみに限定して運転すると良い。パニックになって「右足を踏ん張って」フルスロットルで暴走させる事故は無くなる。

 また、以前紹介されていた補助機構として、「アクセルは右足で横方向に押すことで加速し、ブレーキは踏み込むことで効く」というものがあった。

 個人的には、長距離ドライブ等での運転姿勢と疲労の関係等の問題も多いと思うが、この様なシステムを洗練させる技術開発も必要だろうと考える。

 いずれにしても、踏み間違えやパニックで暴走して店舗に突っ込んだりする事故が少なからずある現在、例えばそんな事故を起こした運転手にはマニュアルミッション車免許取得を義務付けて、AT車使用禁止するのも、効果的かも知れない。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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