縮小するパチンコ市場で、関連企業の収益が好調な理由

2022年8月28日 17:01

印刷

 日本生産性本部の「レジャー白書2021」によると、市場規模では依然として?パチンコ・パチプロ産業が14兆6000億円と全体の26.4%を占めている。2位はコロナ禍の影響を受けた飲食の25.8%(14兆2500億円)。市場環境を勘案してもパチンコ・パチスロはレジャーの一方の雄。

【こちらも】SANKYO、パチンコ・パチスロ事業ともに業績改善 販売台数シェア向上等から今期も増収増益を見込む

 だがその一方で、こんな事実も明らかになっている。「パチンコホールの店舗数」は2017年度の1万596店に比べ右肩下がりで8458店。「パチンコ・パチプロの設置台数」も1万596台から8458台に、漸減傾向となっている。

 ただパチンコ・パチスロ機大手の平和(東証プライム)の収益動向は、2021年3月期には「25%減収、78%営業減益」と大きく沈んだが、22年3月期からは四季報の見出しを拝借すると【続伸】。今3月期のパチンコ機:8.8万台(前期6.3万台)、パチスロ台:4.2万台(2.9万台)計画と、増勢傾向にある。

 どう理解したらよいのか。

 主にパチンコ業者向けに「貸金事業」「不動産賃貸事業」を展開している、JALKOホールディングス(東証スタンダード)の収益動向にも同様の動きが見られる。過去には幾多の厳しい環境を潜り抜けてきた企業だ。

 2009年に社長に就任した現社長の田辺順一氏は、『上場廃止の危機連続』と題する日刊ゲンダイデジタル版で、苦境の歴史を語っている。また2014年には子会社の売上高架空計上に伴う不祥事から、証券等監視委員会から「罰則」課金を課せられている。そんなJALCOHDの前3月期は「2.4%の増収、27.4%の営業増益」。今期も「25.8%の増収(35億円)、24.1%の営業増益(20億500万円)」計画。

 「?」を解くカギは、JARCOHDの前期の決算資料に窺うことが出来る。

★貸金事業: 収益性・担保力を精査の上、短期貸付(返済1年以内)に徹している。結果、売上高(前年同期比)78.2%増/営業利益101.7%増。そうした姿勢がソーシャルレンディング事業(貸付or融資型クラウドファンディング)の口座開設数の増加につながり、貸付金増につながった。

★不動産賃貸事業: 商業施設3件・アミューズメント施設7件の計10物件を取得。賃貸用不動産の保有残高:376億2300万円(34.4%増)となり、売上高20.8%/20.6%営業増益に安定的な寄与を示した。

 要は全体的なパイは縮小傾向も、ビジネス相手の選別を徹底している結果と捉えられる。

 ちなみにJARCOHDの時価は174円(予想税引き後配当利回り約1%)。言葉を選ばずに言えば、パチンコで「2万円すった」と耳にすることは少なくない。その2万円を生かして使えば上場企業の株主になれる。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連記事