TV会議システム等、時代に即したDXシステムで頭角を現した:ブイキューブとはこんな会社

2022年5月11日 17:05

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 5億5000万円営業損失/3億4500万円営業利益/2億8000万円の営業損失といった具合に、収益軌道化に腐心してきたブイキューブ(東証1部)が、「軌道化」の道に突入したのは2020年12月期。そして前21年12月期には「38.8%増収、27.7%営業増益、4円増配8円配」と拡充期への足場を固め、今期は「20・9%の増収(139億円)、49.8%の営業増益(20億円)」計画で立ち上がった。

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 ブイキューブは、「ビジネス・働き方の在り様の変化」にまさに即応する企業である。前期のセグメントに、それは容易に読み込める。こんな具合だ。

 『エンタープライズDX事業』: 自社開発の「汎用Web会議システム」や「テレビ会議システム」、Zoomの販売。企業向けの災害対策ソリューションなど、リモートコミュニケーションプロダクトの販売が主体。収益的にはコロナ禍での対面商談の手控え・減少で、25.6%の営業減益を強いられたが・・・

 『イベントDX事業』: Webセミナー配信サービスなど、配信ソフトウェアの販売。イベント配信に係る運用設計や当日の配信サポート&後日のイベントデータ解析など、運用支援サービスの提供。バーチャル株主総会に象徴的に、Webセミナー配信回線のオンライン化の進捗・定着で営業利益は38.2%の増益となった。

 『サードプレイスDX事業』: 企業や公共空間への「テレキューブ(遮音性の高い個室電話・TV会議ブース)」の提供や、管理システムの開発。169.2%の営業増益。

 我が世の春を迎えた・・・という感が強いが、新たな施策展開にも手を緩めていない。例えば2月からはメタバースを活用したイベント配信サービスを始めているが、「他分野での展開も・・・」としている。

 ブイキューブは、現社長の間下直晃氏が慶応大学在学中の1998年に起業した「ブイキューブインターネット」に始まる。企業のWebサイトの制作に始まり、様々なネットサービスを開発。特許を取得した、「ネット上に手書き入力で“寄せ書き色紙”を作る技術」開発などが代表的。

 ロサンゼルスに子会社を立ち上げた時に、困りごとが発生。現地社員とのコミュニケーション。間下氏はこう振り返っている。「毎週出向くわけにはいかない。テレビ会議を導入するには1000万円近くかかる。当時そんな余資はない。そこでインターネット回線を利用し、Web会議を自社開発した」。

 必要は発明の母、ということか。時代に即した注目に値する企業が頭角を現してきた。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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