新型コロナ従来株感染による免役、長期間維持されデルタ株にも有効 東大

2022年2月23日 11:59

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新型コロナウイルスへの感染から回復したハムスターの再感染について(画像: 東京大学報道発表資料より)

新型コロナウイルスへの感染から回復したハムスターの再感染について(画像: 東京大学報道発表資料より)[写真拡大]

 東京大学は17日、新型コロナウイルスの従来株(最初に流行した新型コロナウイルス株)に感染することで獲得された免役は、長期間維持され、デルタ株などの変異株に対しても有効であることを確認したと発表した。ただ、現在流行中のオミクロン株については、さらに検討を要するとしている。

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■中和抗体価について

 研究グループは、ファイザー社及びモデルナ社のワクチン(従来株に対するもの)について、接種者のデルタ株に対する中和抗体価を調べた。すると、ファイザー社のワクチンで3.9倍、モデルナ社のワクチンで2.7倍、従来株に対してよりも中和抗体価が低いことが解った。なお中和抗体には、ウイルスが細胞に感染することを防ぐ働きがある。

 次に研究グループは、従来株の感染回復から2カ月経過したハムスターについて、中和抗体価を調べた。すると同様に、従来株によりもデルタ株に対して中和抗体価が低いことが解った。

■感染後長期間経過したハムスターの獲得免役

 さらに研究グループは、従来株に感染させてから15カ月経過したハムスターについて、従来株とデルタ株に再感染させ、未感染のハムスターに従来株とデルタ株を感染させた場合と比較した。すると未感染のハムスターからは、鼻の内部と肺から大量のウイルスを検出。これに対して、従来株に感染させてから15カ月経過したハムスターについては、鼻の内部からは少量のウイルスが検出されたものの、肺からはウイルスは全く検出されなかったという。

 以上から研究グループは、従来株の感染によって獲得された免役は、長期間維持され、デルタ株などの変異株に対しても有効だと結論付けた。

 研究グループは同時に、従来株に感染させ回復したハムスターをデルタ株に再感染させた場合、未感染のハムスターに飛沫感染しないことも確認した。

 研究グループでは、現在感染の主流となっているオミクロン株について、同様のことが妥当するかについては、さらなる検討が必要であるとしている。また今回の研究成果は、今後、政府などが策定・実施する新型コロナ対策において、重要な知見を提供するものであるとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る

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