「共生」を教えてくれたパラリンピックを経た今こそ、改めて障害者雇用を考える時

2021年9月20日 16:23

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 厚労省の調査では、2020年度の障害者求人は19万4746人と前年度から13%減少したという。コロナ禍で企業の障害者雇用の余力が低下している、と解説される。一方昨年6月時点で「障害者雇用促進法」に定められた「民間企業(従業員43.5人の企業)の障害者雇用率」は、48.5%にとどまるという事実もある。コロナ禍の影響を差っ引いても、進捗度はいまひとつ。

【こちらも】世に有益な企業には株式市場も「エール」を送る!

 私は2020年9月30日の企業・産業欄に、『世に有益な企業には株式市場もエールを送る』というタイトルで、「創業以来一貫して障害者・障害児向けの福祉サービスを展開する」―ウェルビー(上場)を記した。また21年3月9日から10日には経済欄で『障害者就労に関する一考察(上・下)』を掲載した。記事中にはウェルビー、エスプール(上場)が印されている。

 いま改めて雇用者就労を考えたのは、「共生」を痛感した東京パラリンピックに感動した余韻が依然として消え去らないからである。障害者の就労支援を展開する企業は、ほかにもあるはずだと思い調べた。株式会社ゼネラルパートナーズという企業(非上場)を知った。詳細はHPで検索をしてほしいが、幅広い展開を行っている。主だった事業はこんな具合だ。

★障害者向けの総合就職・転職サービス(atGPエージェント): 就職・転職希望者には専門のスタッフが寄り添い無料サポートを行う。求人企業にはコンサルタントがつき人材市場のトレンドなどを提供し、採用する人材のイメージを共有する。そうした両面からのフォローでマッチングを実行する。ゼネラルパートナーズでは、「転職サポートの実績NO1」としている。

★atGPジョブトレ: 「うつ症状」「発達障害」「統合失調症」「聴覚障害」「難病」コース別に、事務職の即戦力として働くための豊富なカリキュラムを提供。と同時に他の様々な同社のチャネルを活用し就職後も、自分らしく働き続けるためのトレーニングを提供。また、IT・Web制作スキルを身に着けて活躍したいと考える障害者には、デジタルハリウッド社(マルチメディアコンテンツ系予備校・大学を運営)と提携してWebスキルを身に着けられるカリキュラムを提供。

★GPアスネタ: 精神障害者に働ける場として「しいたけ栽培」を展開。経済的自立を図るために雇用契約し、最終的には一般企業への就職・復職に繋げる「就労継続支援A型事業所」として運営している。

 前記したウェルビー、エスプール然り。ゼネラルパートナーズ然り。一口で言えば「障害者雇用に前向きな」企業と、障害者を独特の形でマッチングさせる枠組みである。こうした企業群と例えば自治体が第三セクター方式で「障害者支援」事業の展開と積極的に取り組み、広げていくことなどがこれからは肝要ではではないだろうか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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