アース製薬の川端社長が「殺虫剤はやめてもいい」とする理由と裏付け

2021年9月1日 11:41

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『ヘルパータスケ 洗えないものを良い香りに変える 消臭クリアジェット』(画像: アース製薬の発表資料より)

『ヘルパータスケ 洗えないものを良い香りに変える 消臭クリアジェット』(画像: アース製薬の発表資料より)[写真拡大]

 8月10日の東洋経済オンラインは『アース製薬「殺虫剤をやめてもいい」宣言の真意』という見出しで、川端克宜社長の「虫ケアにしがみつくことはない、いつやめてもいい」というセンセーショナルな発言の意図を記している。読む価値多々。何故ならアース製薬の前12月期は「売上高1960億円、営業利益114億円」と、いずれも過去最高を記録している。

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 「真意」は「除菌などの感染症予防にまで事業を拡大させていく。経営が順調なうちに次の成長の種をまいていく」だが、とにかく興味深いのでご一読頂きたい。『ヤブ蚊は気温が25~26度になると活動が活性化するが、30度を超えると吸血意欲が低下する』といった記述まである。

 ところで、アース製薬の新ブランド【ヘルパータスケ】をご存知だろうか。同社では「ひとを助けるあなたを、助ける」をコンセプトにした「介護で頑張る方を応援する介護用品」ブランドとしている。「長年にわたり培ってきた当社の知見やロングセラーシリーズ“アースノンマット”“モンダミン”の開発技術を応用することで、少しでもラクに気持ちも明るくなるような貴方の介護を助ける想いで開発と取り組んでいる」としている。

 第1弾として「口腔ケア」「排泄臭対策」「除菌対策」の対応商品を発売している。具体的にはこんな商品。

★口腔ケア: 「ヘルパータスケ モンダミン マウススプレーうるおいジューシー」。4種類の保湿成分(マコンブエキス、ヒアルロン酸、ベタイン、リピジュア)を配合したノンアルコールタイプ。ニオイのもとを吸着除去し口臭を防ぐ。

★排泄臭対策: 消臭剤で香りを誤魔化すのではなく、排泄臭対策に特化したデオマジック(シキボウ:東証1部開発)でフローラルの香りに変える。

★除菌対策: 「消臭・除菌剤クレベリン(大幸薬品:同:と共同開発)」。クレベリンがコロナウイルス禍で人気を博したことは周知の通り。ポイントは、二酸化塩素の消臭・除菌効果。認められてはいたが、「液状・ゲル状化によって効果が大方失われる」ともされていた。だが大幸薬品が「正露丸」に次ぐ新規事業の礎を創るため研究開発。「難点」を解消した。「アルコール除菌EXワイド」。エムスリーが運営する医療従業者向けポータルサイト「m3.com」の登録会員医師の98%から、推奨意向を受け認定されている。

 川端社長が説く、新たな成長事業「除菌/感染症予防」の拡充に備え着実に手は打たれているようだ。「自分が入社した時代は殺虫剤の売上高構成比率が9割以上。いまは3割。30年後は売っているか分からない」(川端氏)―と東洋経済オンラインで語っているが、過渡期に立つ経営者として文字通り真価を問われる。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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