途上国製造のクルマを積極的に選ぶか

2021年5月10日 07:18

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テスラ・モデル3(画像: Tesla Motors Japanの発表資料より)

テスラ・モデル3(画像: Tesla Motors Japanの発表資料より)[写真拡大]

●途上国資本傘下の名門メーカー

 「伝統あるれっきとした自動車メーカー」へ、途上国の資本が投資をして、「経営権を握った」場合を見てみよう。

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 2008年、フォードはジャガーとランドローバーを、インドのタタ・モーターズに売却した。ジャガーは、インド資本となったものの、高級車・スポーツカーブランドとして存続している。

 また、ボルボ・カーズはスウェーデンの自動車会社で、スウェーデンのイエーテボリに本社と工場があるが、資本系列は中国・浙江吉利控股集団の傘下にある。

 これ等の場合は、出資者が誰であれ、現時点では、多分「まともな車メーカーの品質」は担保されると考えられる。

●進駐軍下のメーカー

 少し変わった例を見てみると、経営危機に陥ったマツダにフォードが出資して経営権を握った時期があった。

 当然、文化の異なる米国人が送り込んだ経営幹部にはピンからキリまでいる。出来の悪い人物は、「進駐軍」を気取って、好き放題とかの噂もあった。

 「フォード側が優れている」との、彼等の勝手な思い込みで、マツダが開発中の新鋭エンジンにストップをかけて、フォード製のエンジンを搭載した場面もあった。

 当時のMPVの、カタログ上の「最上級」エンジンはフォードの6気筒。マツダ製は4気筒までとされたので、事情が分からない一般ユーザーは、「MPVの最上級グレードは6気筒」だと考えてこちらを選ぶと、フォードのエンジンが搭載されていた。

●車に詳しい人の判断

 当時のMPVを購入する人達は、6気筒の方が4気筒よりも上級だと考えるのが普通だったが、車に詳しい人達は、敢えてマツダ製4気筒モデルを選んだ。

 日産とプリンスが合併した直後のスカイラインは、日産製L型2000㏄モデルより、排気量が小さくても優秀な、プリンス製G型1800㏄搭載車が玄人受けしたのと同じ現象だ。

 素人に、グレードを隠したMPVを運転させれば、殆どの場合は4気筒搭載モデルに高得点を付けたのだった。繊細な感性を備えた日本人が開発したエンジンと、ラフな感性のヤンキーが作ったエンジンとでは、その差は歴然だった。アメリカを途上国という気は無いが~。

 最終的にはストップのかかっていたマツダ製6気筒となるが、「自動車先進国」の筈のアメリカ製でさえ、そんなレベルだった。

●フェスティバ5

 フォード・フェスティバはマツダ製フォードブランド車だ。

 2ドアで、リヤハッチゲートを備えた「3ハッチ」と呼ばれる、コンパクトでお洒落な車で、ルーフトップがキャンバスを折り畳むと天井が開けられる「キャンバストップ」仕様車もラインアップされて、人気があった。

 しかし、乗降面ではやはり2ドアより4ドアの方が断然便利だ。このフェスティバは、韓国でも起亜産業に生産させていたが、韓国は「魔改造」して独自に4ドアの「5ハッチ」を作った。

 この5ハッチを、何をトチ狂ったのか、韓国から日本へ持ち込んで「フェスティバ5」として販売した。

 日本でマツダが生産した「フェスティバ3ドアハッチバック」と、起亜産業製「フェスティバ5」では、本来基本設計が同じであっても、「車としての完成度」に雲泥の差があった。下手な絵を修正するよりも、新規に描いた方が余程楽だといえば分かって貰えるだろう。

 韓国から輸入して、日本国内に適合させるのに、工作精度にもいろいろ問題点を抱えていて、大変な苦労をさせられたそうだ。

●中国製EVと認識しての選択か

 5月1日付の日本経済新聞に、「中国製EV対日輸出急増」との記事が掲載された。

 この記事で、初めて「中国製EVなんて~」との印象を持った向きも多いと思われるが、記事にある通り、2021年1~3月の実績が前年同期の9倍、879台に伸び、その大半がテスラだった。

 これは、「モデル3」の生産地がアメリカ工場から中国工場に切り替わり、同時に最大24%値下げしたことが影響したとある。

 「テスラ=米国製の先端EV」とのイメージで選択したユーザーも多いだろうが、本来、「伝統的な自動車メーカー」としての実績が無いテスラで、中国で生産した車だと認識して購入したのか。

 初期のテスラは、安定のパナソニック製バッテリーを搭載していたが、現在はバッテリーも調達先を中韓にも拡げているから、その面からも不安が残る。

 家電製品で、値段が高い日本製を敬遠して、「それなりに使えるだろう」と使い捨て感覚で、中韓製品を購入したのと同じ判断基準であれば、それもアリかも知れない。

 「伝統的な自動車メーカー」が中国資本傘下となったのとは訳が違うことを、はっきりと認識した上で選択しているのなら、お好きにどうぞと思う。

 因みに、2010年12月発売以来、「技術力に優れた日本製」の日産リーフは、過去1件の火災事故も起こしていない。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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