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今から6600万年ほど前に地球に衝突したチクシュルーブ大隕石は、メキシコユカタン半島沖に直径約150km、深さ約19kmの巨大なクレーター(チクシュルーブクレーター)を痕跡として残し、恐竜をはじめとした地球上の生命の大絶滅をもたらした張本人であると考えられている。2月15日にNature's Scientific Reportsで公開されたハーバード大学の研究論文で、このチクシュルーブ大隕石が何を起源とし、どこから飛来したのかについて明らかにされた。
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この研究では、オールトの雲に由来する長周期彗星の動きを、他の天体から受ける重力の影響から数値解析によってシミュレートし、木星による引力でそれらの多くは太陽に非常に接近する軌道をとるように誘導されることを明らかにした。
太陽に非常に接近する彗星をサングレーザーと呼ぶが、これらは太陽接近時に非常に大きな潮汐力を受けて、本体がバラバラになって宇宙空間に飛散する可能性があるという。例えば日本人によって1960年代に発見され、20世紀最大の彗星となった池谷・関彗星もサングレーザーであったが、もともとは1つの巨大な彗星であったものの破片の一部であったとされている。
このサングレーザーの破片の一部が太陽を周回して再びオールトの雲に帰っていく途中で、地球に衝突する可能性が高まるとこの論文では指摘している。長周期彗星の20%は木星の引力の影響を受けてサングレーザーとなるが、サングレーザーが地球に衝突する可能性は、他の種類の彗星が衝突する可能性の10倍にも達するという。
これはサングレーザーがそのような軌道をとる可能性が高いことに加えて、太陽の引力の影響を受けて、潮汐力によってバラバラに飛散することも影響している。
チクシュルーブクレーターでは、岩が炭素質コンドライトで構成されていた可能性があり、これは火星と木星の公転軌道の間に位置する小惑星帯にある天体では、ほとんど見つからない構成要素である。そのためチクシュルーブ大隕石は、長周期彗星がサングレーザーとなって、地球に衝突した可能性を示唆する証拠でもあると研究者は主張している。
長周期彗星で思い浮かぶのは、今からおよそ7万年前に太陽から0.83光年という非常に近くに接近した赤色矮星のショルツ星が、オールトの雲をかすめていたことである。この影響で長周期彗星の多くが太陽に向かう軌道をとったはずである。ただし、これらが地球に接近する可能性が出てくるのは今からおよそ200万年後のことである。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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