潮汐矮小銀河の観測から恒星誕生プロセスを解明 英バース大学の研究

2021年1月27日 16:51

小

中

大

印刷

潮汐矮小銀河(青)と渦巻銀河(グレースケール) (c) Hubble Space Telescope / ALMA

潮汐矮小銀河(青)と渦巻銀河(グレースケール) (c) Hubble Space Telescope / ALMA[写真拡大]

写真の拡大

 潮汐矮小銀河とは、銀河同士の衝突の際にガスの一部が潮汐力によって放出され、それらに沿って誕生した低質量銀河のことである。この潮汐矮小銀河は、暗黒物質が存在せず、ガス成分の比率が非常に高いため、恒星が誕生する源となっていることが、従来の研究で示唆されている。

【こちらも】30億年前に天の川銀河へ矮小銀河が衝突 痕跡を発見 米レンセラー工科大

 イギリスのバース大学やスペイン国立天文台の天体物理学者たちによる研究チームは、ALMA望遠鏡と複数の電波望遠鏡を組み合わせてメガ望遠鏡を構成し、地球から約5000万光年の距離にあるTDG J1023 + 1952と呼ばれる潮汐矮小銀河の観測を行った。

 その結果、この銀河を構成している分子雲が、われわれの銀河系にある分子雲とサイズや構成要素において類似性を持っていることを見出したという。このことは、宇宙全体で普遍的な星形成プロセスが働いていることを示唆している。

 また一方では、分子雲という静止状態に近いガスと、宇宙に散らばっていく形態を示す拡散ガスの両方が存在していることも明らかになった。

 われわれの銀河系では、静止状態に近い分子雲が、恒星の誕生源と考えられてきた。だがTDG J1023 + 1952で観測された拡散ガスの存在によって、少なくともこの銀河においては、分子ガスのほとんどが恒星誕生に寄与していないことが示唆されており、従来の恒星誕生理論に大きな疑問を投げかける形となった。

 われわれの銀河系は穏やかな環境にあり、従来そのような環境下における恒星誕生のメカニズムに関して、研究が行われてきた。だがTDG J1023 + 1952における拡散ガスの発見は、本来宇宙に存在していた分子雲と旧来輝いていた恒星の崩壊によって、宇宙に拡散していくガスがどのようにブレンドされて恒星誕生につながるのかを解明してゆくのための、第一歩となることだろう。

 私たち人類も、私たちの故郷である地球も、本来宇宙に存在していた分子雲だけを起源としていないことは明らかである。その理由は、人類も地球も恒星の超新星爆発でしか発生しえない鉄よりも重い元素を構成要素として有しているからだ。つまり、私たちもTDG J1023 + 1952で観測されたものと同様の拡散ガスを起源とした宇宙の一員なのである。(記事:cedar3・記事一覧を見る

関連キーワードイギリス電波望遠鏡超新星暗黒物質

関連記事

広告

広告

写真で見るニュース

  • Audi Q2。画像は欧州仕様(画像: アウディ・ジャパンの発表資料より)
  • マイルドハイブリッド搭載が決まったBMW・X7 xDrive40d(画像: BMWジャパン発表資料より)
  • Photo:日本自動車工業会 豊田会長から550万人への年頭メッセージの冒頭部分
  • ルノー・トゥインゴ バイブス(画像: ルノー・ジャポン発表資料より)
  • マクラーレン・アルトゥーラ(画像: マクラーレン・オートモーティブ発表資料より)
 

広告

ピックアップ 注目ニュース