1月5日がコロナバブルのターニングポイントになるか!? ジョージア州上院決選投票 後編

2021年1月5日 08:17

印刷

 さて、もしジョージア州で民主党が勝利し、アメリカの議会がいわゆる「ねじれ」状態ではなくトリプルブルーとなれば、バイデン氏が掲げる公約を実現しやすい環境が整うことになる。「法人税増税」や「GAFAへの規制」などの公約は、株式市場としてはマイナスだ。

【前回は】1月5日がコロナバブルのターニングポイントになるか!? ジョージア州上院決選投票 前編

 これまでは、ジョージア州が共和党基盤であることから、最低でも議席の一方は共和党が守り切る=「ねじれ」状態となる可能性が高かったこともあり、株式市場はバイデン大統領誕生を楽観視してきたといえる。その上、FRB(米連邦準備制度理事会)によるコロナウィルス禍対策としての緩和マネーがだぶついている。

 溢れ出た緩和マネーは仮想通貨の暴騰を産み、実態経済からかけ離れる株式市場はコロナバブルとも揶揄されるが、ジョージア州の選挙結果によってはその見通しを大きく変えざるを得ないことになるのだ。

 もっとも、ジョージア州で民主党が大勝し、公約を実現しやすい環境になったとしても、バイデン氏の公約である「環境インフラ部門への投資拡大(4年間で2兆ドル)」によって市場の一部は恩恵を受けるだろう。また、自由貿易への回帰も株式市場にとってはプラスの材料だ。

 さらに、FRBによるゼロ金利政策が2023年末まで継続することが示唆されているため、これも株式市場にはプラスに作用している。前FRB議長であり、金融緩和に対してハト派だったイエレン氏が財務長官に就任することも、FRBと連携の上で、緩和のスタンスが継続されるという材料となっているのだ。

 一方で、アメリカの金融緩和やゼロ金利政策継続の結果として生じるドル安については十分に注意すべきであろう。足元では、ドル円が103円を一時割っており、徐々に円高圧力が強まりつつある状況だ。

 なお、12月に公表された2020年度下期の想定為替レートについては、全産業で1ドル106円55銭、大企業・製造業で1ドル106円42銭となっている。現在のレートが大きく崩れ、100円を割り込むようなことがあれば、株式市場への波及も警戒すべき段階だろう。

 今後の株式市場については、土壇場で決まったブレグジットの影響もしかりではあるが、バイデン政権の動きを左右することになるジョージア州上院決選投票の結果を確認していただきたい。ちなみに、結果が判明するまでに数日から数週間かかる可能性もあるとのことで、特に結果判明時の株式や為替の急激な動きには十分に注意されたい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事