銀河団で大量の星が誕生する理論に新発見か 若いジェット噴出がカギ 国立天文台ら

2020年9月2日 12:03

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ほうおう座銀河団中心の巨大銀河から噴出するジェットの想像図 (画像:国立天文台水沢の発表資料より)

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 国立天文台は8月31日、年老いて冷えてしまった「ほうおう座銀河団」の中心に位置する巨大銀河から、誕生から数百万年という若いジェットを発見したと発表した。大量の星が誕生するこの銀河団からジェットの噴出が確認されたことで、ジェット噴出が星誕生を阻害するシナリオの再考が迫られるという。

【こちらも】銀河中心の超巨大ブラックホールから噴出するジェット 運動の詳細が明らかに

■銀河団で星が誕生するメカニズム

 銀河の分布は一様でなく、「銀河団」と呼ばれる数十~数千もの銀河が集まった天体を形成している。銀河の集まりは「ダークマター」と呼ばれる、光学的に直接観測できない物質の重力によって引きつけられていると考えられている。

 ダークマターの重力によって、1,000万度以上の高温ガスが銀河団に閉じ込められていると考えられている。これによりX線が放射されるとガスの熱が失われ、圧力が低下する。平衡を保つため、ガスはダークマターの重力に引きつけられることから、X線の放射が強くなり、ガスはさらに冷却される。その結果、集積したガスから星が誕生すると考えられる。

 一方、天の川銀河に近い銀河団では、こうした現象は確認されていない。銀河団の中心に存在する超大質量ブラックホールが放つジェットが、ガスの冷却を阻止するからだという。

■ジェットがガス冷却を阻止しない

 国立天文台水沢などの研究者らから構成されるグループは、約59億光年彼方のほうおう座銀河団に注目した。銀河団の中心部には通常の1,000倍の速度で星が誕生する銀河が存在する一方で、超大質量ブラックホールは、1年に太陽60個分の質量を取り込み成長を続けている。ALMA望遠鏡はこの銀河団の中心部で冷えたガスが集積していることを確認しているが、超大質量ブラックホールから噴出するジェットは発見されていなかった。

 研究グループは、水沢VLBI観測所で高い周波数の電波を使い、ほうおう座銀河団中心にある巨大銀河を長時間観測した。その結果、ジェットが噴き出している様子を確認。ガスが冷却していることから、ジェットが高温ガスの冷却を阻止していないことを示すという。この発見は、銀河団中心に集積するガスの冷却やジェットによる冷却の阻止というシナリオを覆す可能性があるという。

 今回発見されたジェットは誕生から数百万年と若く、ガスの過熱が十分に進んでいないことが原因として考えられる。今後、建設中の超大型電波望遠鏡SKAを使い、ほうおう座銀河団と近傍の銀河団との違いがなぜ生じたのかを解明したいとしている。

 研究の詳細は、日本天文学会欧文報告8月号に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

関連キーワード電波望遠鏡ブラックホール国立天文台ダークマター

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