5G × IoT × 建築現場 キャリア3社による通信業界シェア争いの行方

2020年8月16日 07:11

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 西日本新聞の報道によると、『国土交通省は、長崎の雲仙・普賢岳にて5Gベースの無人化施工技術による災害復旧工事を、2021年度前半にも実証実験する』という。この実証実験が成功すれば、今後の自然災害の復旧工事では2次災害リスクを回避しつつ、安全かつ迅速に復旧作業が進められることとなる。

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 そこで注目すべきは、どのキャリアが5Gインフラを提供し、どのゼネコンが工事を担当するかだ。前述の記事ではその点に触れてはいないが、現在キャリア3社がそれぞれ大手ゼネコンと共同開発で無人化施工技術の確立に急いでいる。

 まずKDDIと大林組だが、無人の大型重機を5Gで遠隔操作する建設工事に取り組んでいる。2020年2月には、三重県伊賀市の川上ダム工事でパワーショベルや大型クレーンなど複数の重機をリモート操作し、AIベースの無人運転で振動ローラーの作業をさせるなど、5G遠隔施工に成功したと報じられている。

 またNTTドコモは、米シンメトリー社と共同で建築現場のデジタルツイン化の研究を進めてきた。5G通信ベースでドローンや3Dレーザースキャナーなどを用い、建築現場をサイバー空間上に再現する技術の完成を目指している。

 現場の点群データに関しては、ドコモオープンイノベーションクラウド上で分析・処理され、各エンジニアがVR・ARでリモートワークするシステムである。7月には、ドコモと竹中工務店が建築現場の無人化施工の実現へ共同着手することに合意している。

 そしてソフトバンクは2020年2月、大成建設と共同で、北海道のトンネル工事現場において、可搬型5G設備「おでかけ5G」ベースのリモート作業による安全管理システムの実証実験を行ったと発表している。

 このようにキャリア3社がそれぞれ、独自に5Gインフラを提供して土木・建築の現場で無人化施工技術の開発に取り組んでいる。これらの研究開発が成功し、各現場で実施されるようになれば、東京のオフィスから遠隔操作で施工が行われるようになる。

 もちろん、建材の搬入から取付作業など、ほとんどの作業がロボット化を進めていることから、数年後にはほぼ無人による土木・建築工事が実現することであろう。

 キャリア3社は、それぞれが提供する5Gインフラ技術と大手ゼネコンのロボット化とのコラボにより、次世代通信業界のシェア争いを加速させている。どこが抜きんでても不思議ではないが、冒頭で述べたような国土交通省からの大型発注を受けるかどうか、国の事業で第1候補になるかどうかで、今後のシェア争いが大きく左右されることになるだろう。

 ここはキャリア3社への投資に対する判断材料として、ぜひ注目していきたい。(記事:TO・記事一覧を見る

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