UAEの火星探査機「HOPE」搭載したH-IIAロケット、打ち上げに成功

2020年7月23日 12:04

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 アラブ首長国連邦(UAE)ドバイの政府宇宙機関であるMBRSCの火星探査機「HOPE」を搭載したH-IIAロケットが20日、種子島宇宙センターからの打ち上げに成功した。

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■UAEの火星探査プロジェクト

 UAE初の火星探査プロジェクト「Hope Probe」のもとで、今回火星探査機の打ち上げが実施された。同プロジェクトの主目的は、火星大気の調査だ。火星の大気は現在ほとんどが二酸化炭素から構成されるが、かつては酸素が豊富だった可能性がある。

 そこで火星大気の下層を調査することで、気候の変動メカニズムや全球規模での天気図を理解し、下層大気と上層大気の相関から天気がどのように水素や酸素の散逸を変えるかの説明を試みる。これにより、酸素や水素が火星から失われた理由の特定を目指すという。

 同プロジェクトが火星探査を実施する理由の1つが、火星がハビタブルな環境かどうかの確認だ。火星に地球外生命体が存在するかを探ることで、将来火星に人類が移住することも想定されているという。

■世界各国が火星探査に取り組む

 火星探査を実施するのは、UAEだけではない。2020年には多くの国で火星探査プロジェクトが実施される予定だ。すでに火星探査ローバー「キュリオシティ」を運用中の米航空宇宙局(NASA)は、Mars2000を打ち上げ予定だ。また欧州宇宙機関(ESA)はExoMarsを、中国はHuoXing-1を打ち上げることが計画されている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)もまた、2024年度に火星衛星探査計画を実施する予定がある。

■日本のロケットが打ち上げに活用

 HOPEを搭載したH-IIAロケットは、三菱重工業によって開発されたロケットだ。H-IIAはH-IIBとともに日本の基幹ロケットであり、これまで45回連続で打ち上げに成功している。

 JAXAと三菱重工業は後継のロケットとして、H3ロケットを開発中であり、2020年度中に試験機を打ち上げ予定だという。

 UAEによるロケット打ち上げは今回で2回目だ。2018年には観測衛星ハリーファサットが打ち上げられている。HOPEは15日に打ち上げ予定だったが、天候不順で20日に延期された。打ち上げ後約57分で無事ロケットからHOPEを分離したことも確認されている。

 HOPEは2021年に火星の軌道に到着する予定だ。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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