巨大なブラックホールを見つけるには、まず木星から 米大学の観測

2020年7月2日 07:41

小

中

大

印刷

 アメリカのヴァンダービルト大学は、北米ナノヘルツ天文台と共同で、銀河系における時空の歪みを重力波から観測し、様々な考察をもたらしている。ここでいう時空の歪みの典型はブラックホールである。

【こちらも】ブラックホールから放出されたジェットを撮影 NASA

 ブラックホールは、巨大な質量が局所的に集中した存在で、そのような場合、宇宙空間には重力場の局所的な歪みが生じる。この歪みが重力波の発生原因となるのだが、重力波の観測によって、銀河のどの方向にブラックホールが存在する可能性があるのかを推定できるという。

 Astrophysical Journal誌で公開された研究論文によれば、銀河系内に存在している中性子星の連星系から発せられる同じ周期のパルス信号は、観測位置によって微妙に周期のずれが生じており、このずれがブラックホールによる時空の歪みによって生じているのだそうだ。したがって、このパルス信号の周期のずれを銀河系の様々な場所において観測し、データを集めれば、銀河系における時空の歪みの分布図をつくりだすことができる。

 また重力波の観測から太陽系の重心を特定しようとしたところ、従来の観測結果とは全く異なる結果がもたらされている。従来の光学的観測データでは、木星が太陽の周りをまわる公転周期は12年であるのに対して、重力波の観測による結果は15年を示している。これは光学的観測によって求められていた太陽系の重心が、実際には間違ったものであり、どこかに存在しているブラックホールの影響で時空の歪みが生じることで、別の位置に重心がずらされていることを意味している。

 現在、重力波の観測により太陽系の重心の位置は誤差が100m以内の精度で特定できているという。この太陽系における重心の位置のずれを起こしている原因についてさらに研究を進めていくことで、銀河系のどこかに存在している未知のブラックホールの位置が特定できる可能性がある。つまり木星の公転周期の研究が、未知のブラックホールの位置を特定することに役立つ可能性があるのだ。

 ところで時空の歪みという表現はわかったようでよくわからない存在である。最後にこの言葉が意味するところについてわかりやすく示すことで、この記事の締めくくりとしたい。

 時空の歪みとは、空間の位置によって時間の進み方にずれが生じることをいう。重力が強い場所ほど時間の進み方が遅くなる。つまり、時間の進み方の遅れが重力を生んでいるという見方もできる。そこのところを理解しておくと、みなさんにもアインシュタインの言っていることが、よく理解できるようになるだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る

関連キーワードアメリカブラックホール重力波木星

関連記事

広告

財経アクセスランキング