NASAとESAの小惑星衝突回避プロジェクト、標的名称が「ディモルフォス」に決定

2020年6月24日 13:50

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ディモルフォスをスキャンするHERAのイメージ (c) ESA

ディモルフォスをスキャンするHERAのイメージ (c) ESA[写真拡大]

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 SF映画「アルマゲドン」で描かれていたテクノロジーの実証プロジェクトが、アメリカ航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)によって着々と準備が進められている。このプロジェクトはNASAが「DART」と名付けられた宇宙船を小惑星に衝突させ、ESAの宇宙船「HERA」が小惑星を直接訪問してその効果を確かめるというものだ。

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 「アルマゲドン」ではブルース・ウィリスが自分の命を犠牲にして、地球を守る役を演じていたが、NASAとESAが連携するプロジェクトでは、無人宇宙船によってそのミッションが遂行されることになっている。

 6月23日、ESAは、このプロジェクトで標的としている小惑星の正式名称が「Dimorphos(ディモルフォス)」に決まったことを発表した。

 この小惑星は、Didymos(ディディモス)と呼ばれる直径780mの小惑星の周りを周回する直径150mの衛星で、厳密には小衛星と呼ぶべき存在であり、従来は通称ディディモスBと呼ばれていた。ディディモスBはディディモスの名を借りた肩身の狭い身分から、この度正式名称ディモルフォスを得て、太陽系で一人前の存在に昇格したわけだ。

 DARTは、SpaceXロケットによって打ち上げられ、2022年前半にディモルフォス到着を目指す。到着と言ってもディモルフォスから見れば攻撃を受けるという表現のほうがふさわしいが、要するにDARTをディモルフォスに命中させて、その軌道をそらすのが狙いだ。

 DARTがディモルフォスに到着した後の2024年にHERAが打ち上げられ、2026年のディモルフォス到着を目指す。HERAはDARTが実行したディモルフォスの軌道変更の効果を、直接確かめる任務を遂行することになる。

 ディモルフォスはギリシャ語で「2つの形を持つ」という意味がある。今回この名称が与えられたのは、DARTが衝突する前の形と衝突した後の形をイメージしているからだ。この名称はミッションの狙いをうまく表現している。つまり、ディモルフォスにDARTを命中させて、その形を変えさせることで、重心の位置を変え、その軌道を微妙に変化させることを狙っているわけだ。

 それにしてもディモルフォスの大きさはエジプトのピラミッドに相当するため、ほんの小さな宇宙船であるDARTを命中させる場所をうまく狙わないと、その目的を達成させることは難しい。いずれにしても、DARTの仕事ぶりをHERAが丹念に調べ上げ、映画「アルマゲドン」のような危機が将来訪れることに備えるための貴重なデータが収集されるはずだ。

 DARTからの攻撃によってディモルフォスは軌道が変えられるだけでなく、たくさんのクレーターも生じることだろう。2024年にはその詳細が明らかになる。毎年6月30日はアステロイドデーにあたり、国際的なイベントが催されている。今回はディモルフォスがこのイベントの主役になるのかもしれない。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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