情報開示はロックダウンよりも新型コロナ対策に有効 米大学の研究

2020年5月29日 08:14

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策としてロックダウンを採用する国は多い。そんな中、韓国は中東呼吸器症候群(MERS)の反省から感染者の追跡を徹底し感染の拡大を抑えることに成功した。米カリフォルニア大学サンディエゴ校は25日、韓国での新型コロナウイルス感染症対策を分析した結果、情報開示がロックダウンよりも感染拡大に効果があることが判明したと発表した。

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■同日にアウトブレイクが発生した米韓
 新型コロナウイルス感染症のアウトブレイク(感染爆発)は、米国と韓国で1月13日と同日に判明した。だが両国の感染被害は大きく異なる。5月22日現在、韓国の感染者は約1万1,000人であるのに対し、米国の感染者は約157万人にも及ぶ。

 2015年に韓国ではMERSが流行した。その反省もあり、韓国は新型コロナウイルス感染症対策として感染症の予防及び管理に関する法律、検疫法、医療法の3法を施行している。韓国国民は近隣に新しい新型コロナウイルスの感染者が発見されると、移動経路やその時刻等の情報がテキストメッセージで受信できる。電話番号やクレジットカードのデータと紐付けすることで追跡が可能になり、情報には感染者の年齢や性別なども含まれるという。

 韓国の首都であるソウルは1,000万人もの住民を抱え、人口密度が世界でもっとも高い都市のひとつだ。だが22日現在、感染者は758人、死者は3人しか発生していない。この数値は、同サイズの都市と比較して著しく低い。

■市民の行動を変えた情報開示
 カリフォルニア大学サンディエゴ校、ペンシルベニア州立大学、シカゴ大学の研究者らから構成されるグループは韓国における情報開示戦略の効果を測定するために、ソウル市民の移動や新型コロナウイルスの感染症例を分析し、将来2年にわたる拡散を予測した。その結果、ソウルでは96万5,000人が感染し、そのうち死者は1万7,000人発生すると判明した。GDPは平均で1.2%減少するという。

 一方、情報開示を実施せずロックダウンだけを採用した場合には、死者は2万1,000人に増え、GDPは平均で1.6%減少することが判明した。感染率を下げるために市民の行動を変えるのに韓国の情報開示が有効だったと結論づけている。

 研究の詳細は、全米経済研究所のワーキングペーパーに15日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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