高齢者雇用とコロナウイルス

2020年5月18日 18:48

小

中

大

印刷

 少子高齢化時代の進捗は「労働力不足」という、経済発展に不可欠な喫緊の課題を突き付けている。対して現在施行されている『高齢者雇用安定法』では「高齢者の働く機会を広める」目的で、諸々の施策が執られている。例えば、こんな具合だ。

【こちらも】新型コロナ関連の経営破たん、153件に 40都道府県に広がる 東京商工リサーチ調べ

 ★60歳未満の定年禁止: 事業主は定年を定める場合、定年年齢を60歳以上としなければならない。定年を65歳未満に定めている事業主は、「65歳まで定年年齢を引き上げる」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年制の廃止」のいずれかの措置を講じなければならない。(行政当局の)繰り返しの指導にもかかわらず具体的な取り組みを行わない企業には「報告書」の発出、勧告に従わない場合は企業名の公表を行う<場合がある。>-なんともお役所的ではある。

 ★事業主は、解雇等により離職が予定されている45歳以上65歳未満の者が希望する時は、求人の開拓などその中高年齢者の再就職の援助に関し必要な措置を実施するように<努めなくてはならない>-同。45歳以上65歳未満のうち一定数以上を解雇等により離職させる場合は、あらかじめ、その旨をハローワークに届け出なくてはならない。<求職活動の一環として・・・ということであろうが、100%再就職先を担保することを意味してはいない>。

 周知のようにコロナウイルス禍が労働市場にも、大きな影を落としている。東京商工リサーチなど民間の調査機関の「中小零細企業のコロナ関連倒産急増」が報じられている。

 頭をよぎるのは「高齢者の雇用状況はどうか」で、ある。5月14日、50歳以上のシニア人材に特化した人材紹介・人材派遣を展開するシニアジョブが、『新型コロナ影響で転職するシニア、4月は3月の4倍に 解雇も発生』と題するニュースリリースを配信した。広報担当者の安彦守人氏に聞いた。要約すると以下のような具合である。

■3月-5月12日までにシニアジョブの門を叩いた求職者総数は4475名。その中で「コロナの影響」を応募動機として、担当者に明確に語ったシニア求職者は15名(前職から判断するに、コロナウイルスの影響でと確認できる求職者も4名)。4月は12名と3月の3名から4倍に。ちなみに4月の求職者には、コロナの影響で解雇されたための求職者が3名含まれている。

■コロナの影響で解雇された3名は「看護助手」「医療事務従事者」「自動車整備工」。15名の求職希望者の現(元)職は一様ではないし、確たる共通項があるわけではない。だが例えば「戸建て住宅の工務店で施工管理技士として正社員になる予定だったキャリアシニアが、(建築現場の停止で)突如のテレワークとなり(筆者注記、実質上の解雇とも捉えられる)、やはりキャリアを生かしたい」と応募してきたケースもある。また応募はしてきたが「コロナ感染拡大が収束するまでは就業を見合わせたい」とするシニアは12人に及んでいる。

■逆にコロナウイルスの影響に伴う人手不足から「引き止めを受けている」応募者も2名(医療関係の専門事務職)いる。

 コロナウイルス禍=今後も転職希望者増とは断定的には語れない。むしろ2カ月余にシニアジョブの門を叩いたシルバー求職者が4500人近い事実に「ビジネスの邪魔」の誹りを覚悟で、不安を覚える。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード高齢者東京商工リサーチ倒産転職

関連記事

広告