大日本印刷、印刷と情報の強みを活かしグローバル成長へ挑む

2020年4月20日 07:56

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 大日本印刷(以下、DNP)は4月10日、金融庁が支援するインターネットバンキング利用時の本人認証の認証実験に、同社の「顔認証を活用した本人認証・本人確認サービス」が採用されたと発表した。

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 実験では、インターネットバンキング利用時に、利用者のスマートフォンの位置情報や、顔写真情報などを活用し、銀行が顧客データ管理を行う検証を実施。将来的には、本人認証サービスの精度向上を図り、決済サービスや非対面サービスなどの利用拡大を目指す。

 DNPは、1876年創業の秀英社と1907年創業の日清印刷が、1953年に合併して設立された。その後ビニール、セロハン、布地などへの特殊印刷を開拓し、カラーテレビ用のシャドウマスクの量産を開始、「拡印刷」の多角経営で成長してきた。

 2019年3月期の売上高は1兆4,015億円。部門別の構成比は、出版関連事業、マーケティング事業、情報セキュリティ事業、画像に関わるイメージコミュニケーション事業などの情報コミュニケーション部門が54.1%。包装事業、生活を快適にする生活空間事業、リチウムイオン電池や太陽電池の部材を扱う産業資材事業などの生活・産業部門が28.2%。スマートフォンや大型機器のディスプレイ関連事業、半導体製品用フォトマスクの電子デバイス事業、光学フィルム事業などエレクトロニクス部門が13.7%。北海道コカ・コーラが展開する清涼飲料事業が4.0%を占めるDNPの動きを見ていこう。

■前期(2019年3月期)実績と今期見通し

 前期売上高は1兆4,015億円(前年比0.8%減)、営業利益は前年よりも35億円増の499億円(同7.6%増)であった。

 営業利益増加の要因としては、書店、ネット通販、電子書籍販売を連動させた「honto」事業の黒字化、決済関連サービス事業など企業業務を代行するBPO事業の拡大、コスト構造改革により情報コミュニケーション部門が30億円、有機ELディスプレイ用のメタルマスク、光学フィルムの好調によりエレクトロニクス部門が28億円、基礎研究費用などの減により全社調整が15億円の増益であった。一方原材料価格高騰により生活・産業部門で37億円の減益が発生した。

 今期第3四半期累計(4-12月)実績は、売上高が1兆472億円(前年同期比0.1%増)、営業利益が413億円(同14.4%増)の中、今期は売上高1兆4,160億円(前年比1.0%増)、営業利益510億円(同2.2%増)を見込んでいる。

■経営の基本方針に基づく推進戦略

 「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する」という理念の実現に向け、「P&I(印刷と情報)」の技術やノウハウを活用し次の戦略を推進する。

 1. 成長領域を中心とした事業の拡大による価値の創出

 2. グローバル市場に向けた価値の提供

 3. 利益最大化に向け事業構造改革、コスト構造改革による価値の拡大

 4. 部門別の重点推進事業

 ・情報コミュニケーション部門: 国内トップシェアのICカードなどの決済サービスプラットフォーム提供、書店とネット通販を結ぶhontoの収益改善、印刷媒体需要減に対応した構造改革。

 ・生活産業部門: 世界トップシェアのリチウムイオン電池用フィルムコーティングを車載電池、産業用途へ拡大、モビリティ内外装商材とオリジナルブランド建装材の強化。

 ・エレクトロニクス部門: 世界トップシェアのディスプレイ用光学フィルムの強化。

 培ってきた印刷と情報の強みを活かして、パートナーとの連携で強い製品・サービスを生み出すDNPの動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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