ヒトiPS細胞から再生したキラーT細胞が腎ガン細胞の治療に効果、京大の研究

2020年4月16日 19:44

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今回の研究の概要。(画像: 京都大学の発表資料より)

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 京都大学ウイルス・再生医科学研究所の河本宏教授らの研究グループが15日、ヒトのiPS細胞(人工多能性細胞)で再生したT細胞をヒト由来の腎ガン細胞に投与した結果、治療効果がみられたと発表した。この研究は、体外に取り出したT細胞を人為的に活発化させた後、再び体に戻すガン免疫療法のモデルケースで、高い治療効果を持つ抗体製剤の開発を含め、後発研究に影響を与えそうだ。

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 ガン免疫療法は、外科治療と放射線治療、化学療法に加えて第4の治療法として注目される。免疫療法の研究は1980年代に遡り、LAK療法(サイトカイン刺激で活発化させたリンパ球を用いた治療法)の開発を経て、現在はガン細胞のみに効果が発揮される「T細胞受容体(TCR)」を備えたキラーT細胞を使った、特異的ガン免疫療法の開発が進んでいる。

 この開発研究に取り組む学術機関の中でも、京大iPS細胞研究所の研究グループは、体の様々な組織になれるiPS細胞の技術を用い、キラーT細胞を複製する研究に力を入れる。2018年にはゲノム編集で遺伝子の機能を一部無効化する遺伝子工学の技術により、再生キラーT細胞の安定的な作製に成功した。河本教授らの研究グループは今回、一歩踏み込んだ形で、再生キラーT細胞がガン治療に有効かどうかを調べた。

 京大によると、再生キラーT細胞を複製する方法は、T細胞からiPS細胞を作製する方法とiPS細胞にTCR遺伝子を導入する方法の2種類がある。今回の研究では、遺伝子治療に分類され、ガン治療においても汎用性がある後者の手法を採用。さらに、iPS細胞は、HLA(ヒト白血球抗原)を出しているものを選ぶなど、多くの人の体に使えるiPS細胞を作ることを見据えて、実験条件を設定した。

 こうした条件下で行われた実験では、ガンの目印となる人工ガン抗原「WT1抗原」を発現している患者由来の腎ガン細胞を移植したマウスを用い、キラーT細胞の働きを検討した。すると、キラーT細胞を投与したマウスは、投与後3週目から効果が現れ始め、一部腫瘍組織で体積の増大が抑えられた。京大は「固形ガンに対するTCR-iPS細胞(キラーT細胞)を用いた戦略は、臨床応用に向けて大きく前進した」と論じた。

 今回使用したWT1抗原に働く特異的T細胞受容体は、日本人の6割に使えるといい、今回の研究成果が免疫療法の充実に向けた鍵になるとみられる。詳しい内容は、米国の科学雑誌「iScience」に掲載されている。(記事:小村海・記事一覧を見る

関連キーワード京都大学ゲノムiPS細胞(人工多能性幹細胞)遺伝子免疫

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