タイタン大気に含まれる窒素化合物の生成、銀河宇宙線が大きく関与 東大らの研究

2020年2月21日 12:25

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今回の研究の概要 (c) NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute/Iino et al.

今回の研究の概要 (c) NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute/Iino et al.[写真拡大]

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 国立天文台は14日、アルマ望遠鏡で土星の衛星「タイタン」の大気を観測した結果、放射線の一種である「銀河宇宙線」が、タイタンの大気成分に影響を及ぼしていることが判明したと発表した。

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■地球とは異なる大気環境をもつタイタン
 土星最大の衛星であるタイタンは、水星よりも大きい天体だ。タイタンは地球と同じく窒素が主成分である大気をもつが、地球大気にはない複雑な分子ガスが含まれている。そのため生命の構成要素であるアミノ酸を生成する可能性が考えられるなど、タイタンの大気の化学過程を解明することは重要な意義があるという。

 一方で、米航空宇宙局(NASA)が運営するボイジャーやカッシーニ等の探査機は、土星探査ミッションを終了している。そのため、地上望遠鏡の活用や解析技術の発達がタイタン大気の解明に不可欠だという。

■シミュレーションから判明した分子の起源
 東京大学の研究者らから構成されるグループは、南米チリのアルマ望遠鏡でタイタンの大気を観測した。その結果、複雑な分子であるアセトニトリルや窒素同位体が大気中にわずかに存在し、弱い電波を放つことが判明した。

 電波から窒素同位体の量を求め、シミュレーション研究と比較した結果、「銀河宇宙線」と呼ばれる太陽系外から飛来する放射線が、アセトニトリルの生成に重要な役割を果たしていると判明したという。

 大気における分子ガスの生成には、紫外線が重要な役目を果たす。だがタイタンは太陽から離れているため、紫外線の強度が数パーセントまで低下するという。一方高エネルギーの陽子を主成分とする銀河宇宙線は、大気と反応しにくい。そのため、大気圏の低い高度でも銀河宇宙線から生成した窒素原子からアセトニトリルが誕生したと考えられるという。

 本研究をもとに今後、大気に関するシミュレーション研究やアルマ望遠鏡等の地上望遠鏡を用いた観測研究が続けられるだろうと、研究グループは期待を寄せている。また、生成過程の不明な窒素化合物をもつ惑星大気の化学の理解にもつながるだろうとしている。

 研究の詳細は、米天体物理学誌Astrophysical Journalにて17日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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