日本工営の功績 国策に寄与したその実績と現在

2020年2月12日 12:28

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 日本工営は周知の通り、国内最大の建設コンサルタント企業。海外でも160カ国以上で実績を残している。そして日本工営に関しては、以下の事実を1人でも多くの人に知っておいて貰いたい。

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(I)1946年に「戦後復興の牽引」を視野に、創業者:故久保田豊氏によって設立された。久保田氏は日本の統治下にあった現北朝鮮で、水豊ダムなど幾多のダム建設で知られる人物。

 そんな久保田氏は戦後、当時としては珍しかった(建設)コンサルタント業に着目。ある提案を、ビルマ政府(現ミャンマー)にした。断が下されたのが「バルーチャン発電所計画」。受注し建設を成し遂げている。

 現社長:有元龍一氏の言を借りれば「日本の戦後賠償の第1号。その後ラオス・ベトナム・インドネシア・韓国等でも戦後賠償を実施。これが現在のODA(政府開発援助)へとつながっている」としている。

 ちなみに日本のODAは54年に「コンボ・プラン(アジア太平洋地域の国々の戦後経済・社会の発展を支援する機構)」に参加したことに始まる。 まさに国策を牽引した企業といえる。

(II)久保田基金。1984年に久保田氏の私財を基に設立された、公益信託。途上国の開発に貢献する専門技術者の養成を目的としている。具体的には日本国内の教育機関や研究機関に所属し、特定のテーマを研修・研究の対象とする者に供与される。

 2019年度は「土木・電気・農業・環境・エネルギー等」の研究・研修を対象とする者に、「研究・研修のために在席する団体からの推薦」「1人当たり年間GDPが年間7000米ドル未満の国からの来日者」を前提に「12人に対し年間96万円から120万円」が給付されている。

(III)インフラメンテナンス大賞受賞:日本工営とJAXA(宇宙航空研究開発機構)が共同開発した「だいち2号合成開口レーダによるインフラ変位モニタリング」が昨年11月、インフラメンテナンス大賞を受賞した。国交省・総務省・文科省・厚労省・農水産省・防衛省が共同で企画する賞。

 衛星観測によるモニタリングの活用で土木インフラの変位検出が行われ、国・自治体のインフラ管理の効率化が図れることが受賞要因。国土強靭化を必須課題とする国策を牽引する企業といえる。

 現行の各事業は以下の通り。

★国内・海外建設コンサルティング: 建設関連の広範なコンサルティング事業。

★電力エンジニアリング: 機電コンサルティング。電力関連機器・装置製造。電力設備工事。

★都市空間: 都市建設や歴史的建造物の改修工事。

★エネルギー: 再生可能エネルギー事業やエネルギーマネジメント事業。

 そんな日本工営の収益動向だが、前期は22.1%の営業減益を強いられた。が、要因は明白。海外コンサルティング事業で大型案件の契約の遅れによる同事業の減収減益。しかし今期予想を含む5期間の平均営業増益率は前期の大幅減を補い6.52%増益。

 今期は「17.6%の増収(1277億円)、13.5%の営業増益(58億円)、8.5%の最終増益(36億円)」計画。7-9月期は前年同期比で営業損益は「8億円方改善」で始まっている。

 ただアナリストの間からはこんな指摘が聞かれる。「主軸のコンサルタント事業で販管費が増加基調にある」。対して有元社長は「今後を見据えた、良い意味での攻めの結果。1つは人材投資。今・来期に200名余の増員を予定している。1つはワークライフバランスの確保。仕事柄、長時間労働となりがちだった。それは長い目で見ればマイナス材料。それを解消するため人件費増に備え利益の抑え込みという形を執っている結果」と言い切っている。

 諸々の視点から興味深い企業である。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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