電動垂直離着陸機(eVTOL)、トヨタ参入 しかし…夢、遥かなり

2020年1月19日 16:51

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ジョビー・アビエーションによるeVTOL。(画像: トヨタ自動車の発表資料より)

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 トヨタ自動車がジョビー・アビエーションと協業して、電動垂直離着陸機(eVTOL)に参入すると発表した。3.94億ドル(同433億円)をトヨタが出資し、新たな空のモビリティー事業としてeVTOLを事業化することを目指す。生産技術のノウハウを持ち込んで「設計、素材、電動化」の技術開発を助け、最終的にトヨタ生産方式を適応させていく。

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 VTOL分野の歴史は古く、現在、世界で注目され始めた「空飛ぶクルマ」の発想は70年近い昔からあって、私が子供の頃の絵本にも描かれていた。しかし、軽飛行機のような固定翼機で滑走路を使用する方式でも自動車がそのまま空に浮かぶ飛行機となる方式は、まだ実験段階と言って良い。実用化が難しい分野なのだ。

 実用化の壁は技術的な問題だけではない。自由に飛ばれては危険であるので、航空路の管理が必要だ。管制官の指揮が必要なのだ。アメリカの田舎のように広大な土地で密度が低い場所でも実用化が難しいのは、安全性のためであろう。最近では「テロ」を未然に防ぐ意味でも、「フライトプラン」の提出など防空システムとの兼ね合いもある。

 実用化が難しいのは、VTOL機であるオスプレイを見ても分かる。アイディアは昔から描かれて実験機も造られていたが、半世紀が過ぎてようやく軍用のオスプレイとなって実用化されたと言える。VTOL機は垂直に離着陸するため、軍用でもハリアーが初めてであった。現在ではF35Bが実戦配備されてきているが、やはり天候に左右されることが大きい。

 ドローンでも垂直に離着陸するタイプは風に弱く、市街地での使用は難しい。宅配便に使うことは、ほぼ実現はできないと感じる。今回、トヨタが参画を表明した「空飛ぶ自家用車」は「eVTOL」と称しているので、垂直離着陸のドローンのような乗り物であろう。すると、安定性をどのようにして保つのかが問題となる。市街地で飛ぶときには、かなりの制約があると考えなければならない。

 アメリカや中国、ロシアなど広い土地があるところでは実用化が早いと見られるが、日本の市街地では「安定性」についての革新的技術進歩が必要となってくる。トヨタは全方位に技術的布石を置いているのであろう。ヘリコプターが身近な交通手段とならない中で、エンジンに対して電動モーターにしただけでは実用化は難しい。夢のある話だが、革新的技術が必要だ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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