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リチウム硫黄電池の実用化に向けた製造プロセスを開発 豪モナーシュ大学
リチウムイオン電池はスマートフォンや電気自動車などに広く用いられているが、性能面や環境負荷の面で課題が残されている。そこで注目されているのが、より容量が大きく資源戦略的にも有利な、硫黄を正極に使用した「リチウム硫黄電池」である。そのリチウム硫黄電池の実用化に向けて本腰を入れている国の一つが、オーストラリアであり、3日にもモナーシュ大学から新たな研究成果が発表された。
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オーストラリアのリチウム鉱山生産量は世界一であるが、それを用いた製品であるリチウムイオン電池のシェアは多くない。日本や韓国、中国などの大企業が世界的なシェアを占めているのが現状である。
そこでオーストラリアが国策として注力しているのが、既存のリチウムイオン電池に比べ4倍以上の性能が期待できるとされている、リチウム硫黄電池である。モナーシュ大学もオーストラリア政府から250万ドルを超える資金援助を受けて開発を進めている。
リチウム硫黄電池は理論的には高容量が期待できるものの、充放電時の電極活物質の膨張収縮による劣化が課題である。膨張収縮を繰り返すうちに正極活物質の硫黄が電極から流出してしまい、活物質として機能しなくなるのである。
そこでモナーシュ大学の研究グループは、正極の作製プロセスに着目。新たな作製プロセスの導入により、活物質をスラリー状にして塗布する際に添加する結着材を、大幅に減らすことができた。
その結果、結着材による副反応が抑制され充放電時の膨張収縮にも強くなり、耐久性向上につながった。しかも、今回の作製プロセスは非常にシンプルで低コストであるため工業的な応用もしやすいとされている。
今回の研究成果を受けて、中国や欧米のいくつかの企業は大規模生産を視野に入れて興味を示している。また、オーストラリアにおいて2020年初頭に再試験も行われる予定である。リチウム硫黄電池が実用化されれば、現在活況となっている再生可能エネルギーの市場がさらに盛り上がると考えられる。
本研究成果は、3日付のScience Advance誌のオンライン版に掲載されている。
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