自動車軽量化へ涙ぐましい努力 阿波製紙の次世代素材CNFを有効活用

2019年12月4日 08:40

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阿波製紙の「セルロースナノファイバー」の利用。(画像: 阿波製紙の発表資料より)

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 植物由来の新素材「セルロースナノファイバー」を採用した自動車部品を実用化すると報道され、阿波製紙が注目されている。先般の東京モーターショーにおいても、セルロースナノファイバー(CNF)を素材にした混抄紙による成型品を使用したクルマが、「木から作られる」として展示され話題になっていた。展示車のエンジンフードやフロア材料の一部に阿波製紙のCNF混抄紙が使用されていたのだ。

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 混抄紙といってもその範囲は広く、普通の紙にさまざまな素材を混ぜたものだ。例えば、バナナの茎の繊維を混ぜた「バナナペーパー」や、食品加工工程で出た小豆の皮やとうもろこしの表皮などを混ぜたもの、象のウンチを混ぜこんだ「ぞうさんペーパー」まであるという。さらに、役目を終えた紙幣を細かく裁断したものを混ぜた「裁断紙幣混抄紙」などもあり、一部の金融機関で使用される封筒などに使われているらしい。だが、これらはごく一般的な混抄紙である。

 今回話題となっている自動車に使われる混抄紙は、次世代素材であるCNFが使われている。CNFの特徴は、軽くて強い、超極細の繊維(繊維幅約3nm)、比表面積が大きい、熱による寸法変化が小さい、ガスバリア性が高いなどだ。また、水中で特徴的な粘性を示す。このような特徴を活かして、例えば身近なところではエアコンフィルター、オムツ、化粧品などにも使われている。それに何といっても、木材チップをナノ化した自然由来の環境にやさしいバイオマス素材である。

 自動車業界は、部品にCNFを使用することによって、クルマの軽量化を図りたいところだ。それによって、燃費向上にも貢献する。東京モーターショーに展示されたクルマのように、肉薄化することもできて熱による寸法変化が小さいことは、エンジンフードなどへの使用も可能であるし、将来は重い金属部分の代替えも可能となるかもしれない。また、内装品はもちろん、透明性を活かして重たいガラスウィンドウとなるかもしれない。

 しかし、燃費を1km/Lを減らすのに重量は約100kgも減らさなければならないのが通説だ。まだまだCNF複合素材による大きな軽量化は望めないのかもしれない。だが、「塵も積もれば山となる」が自動車製造の真骨頂、小さな努力の積み重ねが自動車産業を延命させるのだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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