小さく生まれたくすりの窓口、好収益を背景に大きく育っている

2025年6月1日 08:59

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 くすりの窓口(5592、東証グロース市場)が上場し、1年半近くが経った。世の中でその存在感を高めていることが窺える。

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 上場直後の前2024年3月期は「17.5%増収、30.5%営業増益」。そして今25年3月期も期中の上方修正を経て、「20.4%の増収(105億円)、31.4%の営業増益(18億円)、初配当開始(22.63円配)」計画。第3四半期の実績は「84億3000万円、15億5600万円」。上場前5期間に遡って営業利益の推移をチェックすると2019年3月期の4300万円から、「1億3100万円、3億7400万円、8億1600万円、9億3900万円」と着実な上積み状態を示している。

 読者の中にはこんな、私と同じ体験を持つ方もいらっしゃるのではないか!?

 病院で発行された処方箋を調剤薬局に持ち込んだ際に、「いま、切らしているが、調達してくるのでしばし時間が欲しい」という対応。取引先の医療用医薬品の販社・代理店が近場にあるのであれば分かる・・・。が実際にさして時間も要さずに所定の処方箋薬が用意される。

 くすりの窓口は主力事業の一つとして「みんなのお薬箱」を展開している。前記の様に患者に対して優しいとも言えるが、処方箋医薬品を扱う薬局を対象とした事業だ。

 調剤薬局はデッドストックを抱えたくない。と同時に不動在庫を効率的に使い、損失の軽減/利益向上を図りたいと考える。くすりの窓口では「売る・買う・管理する」医薬品流通サイトを展開している。現時点でくすりの窓口のサイトには、1万6000店以上の調剤薬局が登録。月に約1万2000回近くの取引が行われている。年間の不動在庫の売却率は、平均88%。

 患者に対する優しさ・便利さという観点では「EPRKお薬手帳」事業がある。患者は登録(約800万件)の調剤薬局に薬の予約ができる。アプリの活用で患者の家族が薬の管理をすることも可能。負担は無料。利用者数は累計で500万人を超えている。裏返せば薬局側にも、顧客情報管理・事前の予約受付で業務の効率化に繋がるわけだが・・・

 23年10月4日の初値は、公開公募価格1700円に対し1580円で生まれた。7%余小さく生まれた。が、収益動向を支えに「小さく生まれ大きく育つ」階段を昇る感が見受けられる。

 本稿作成中の時価は2500円台後半。予想税引き後配当利回り1%弱。1月7日の年初来安値1383円から高値2661円に戻る値運び。公開初値比1000円方近く、大きく育っている・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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