パッドが要らない曙ブレーキの「MR流体ブレーキ」【東京モーターショー2019】

2019年10月31日 14:01

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MR流体を使ったブレーキの原理(画像: 曙ブレーキ工業の発表資料より)

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 「MR流体ブレーキ」の実用化が間近であるようだ。曙ブレーキ工業が「パッドの要らない」ブレーキを開発しており、東京モーターショーに出展している。ブレーキパッドをドラムやディスクにこすりつけて車を止める時代が終わるのであろうか? 技術的進歩というのは、ムダが少なく効率が良い方向へと進んでいく。摩擦によりパッドがすり減って、点検と交換が必要な部品がブレーキだが、それがなくなるかもしれない。そして、「MR流体ブレーキ」の仕組みでは「摩擦がない」、少なくとも目に見える物理的摩擦がなくなるようだ。

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 MR流体(Magneto Rheological Fluid)は「磁場を加えると瞬時に液体から半固体になる」と言われるのだが、簡単に言えば「油の中に小さな鉄球が入った状態」の流体で、磁場を加えると小さな鉄球が磁場でつながり、反液体となるようだ。磁石を鉄粉に近づけると引き寄せられ、液体の中で磁場が出来ると小さな鉄球がつながるのだ。

 「MR流体ブレーキ」としての構成は、車体側に固定されたディスクを取り付け、ハブ、車輪側に回転するディスクをつけて、相対する配置となっている。つまり、クラッチのような配置だ。そのATのトルクコンバータのようにディスクを向かい合わせた間に、小さな鉄球の入った油を入れる。そこにディスクと直角方向に磁場を作るようにして電流を流すと、両側のディスク間に鉄球の鎖がつながる。それが切れて次のつながりになるのを繰り返すことで、ブレーキとしての抵抗となる。電流の制御で、ブレーキの利き具合を作り出すことが出来るようだ。かなり自然なフィーリングに出来ることが分かっている。

 これだとブレーキだけでなくクラッチとしても使える可能性がある。DCTなどミッション内部の多板クラッチの替わりになる可能性が高い。トルクコンバータの替わりにもなる。これから楽しみな技術でもあり、EV自動運転時代にふさわしい応答性があるようだ。電流制御で調整が効く装置なので、微妙な制御が可能であろう。

 課題は、車重が重い場合に半流体としている流体が蒸発してロックしてしまうことだそうだ。やはり、「エネルギー不滅の法則」がある限り、慣性で動く車両を止めるのだから、何らかのエネルギーに変換しているはずだ。その意味では回生ブレーキによって、できる限り再利用できるエネルギーに回収しておくのが先であろう。その残りのエネルギーを、さらに効率良く捨てるのに良い方法なのであろうか。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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