太古の火星の水は塩味だった 生命生存可能な環境も 金沢大などの研究

2019年10月29日 11:50

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火星探査車キュリオシティ。(画像提供 NASA)

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 火星には水があったということが現在では定説になっている。約40~35億年前のことであるのだが、この水の水質を復元し、それが塩分やミネラルを含んだものであったということを、金沢大学などの研究グループが明らかにした。

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 共同研究に参加しているのは、金沢大学環日本海域環境研究センターの福士圭介准教授、大学院自然科学研究科の森田康暉博士前期課程生、東京工業大学地球生命研究所の関根康人教授(金沢大学環日本海域環境研究センター客員教授)、ハーバード大学のロビン・ワーズワース准教授、物質・材料研究機構の佐久間博主幹研究員ら。

 現在、火星ではNASAの無人探査車が活動している。キュリオシティというもので、約35億年前に巨大湖が存在していた、ゲール・クレータの湖底痕の堆積泥を探査中だ。キュリオシティは「水の作用で生成した」有機物や鉱物などを既に発見しているが、その存在していた水そのものがどのような性質のものだったのかを復元することには成功していなかった。

 今回の研究に応用されたのは、放射性廃棄物の地層処分という研究分野で開発された水質の復元手法である。キュリオシティが集めたゲール・クレータのデータをもとに、太古の火星の水がどのようなものであったか、復元を行うことに成功したのだ。もちろん世界で初めてのことである。

 それによると、pHは中性で、主な成分は「地球の海同様に」ナトリウムと塩素。さらに、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルを多く含んでいたという。もっとも塩分は地球の海水の3分の1程度だというから、舐めてみてもそんなに辛くはないのかもしれない。

 ただ、一つ重要なことには、酸化還元非平衡と呼ばれる、生命が利用するエネルギーも存在していたことが明らかになっている。つまり、実際に生命が誕生したかどうかはともかくとして、生命の存在しうる環境がそこにはあったと推測しうる、ということだ。

 研究の詳細は、Nature Communicationsに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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