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ビッグバン以前に誕生した星? メトシェラ星とは
HD140283 (c) Digitized Sky Survey (DSS), STScI/AURA, Palomar/Caltech, and UKSTU/AAO[写真拡大]
地球から約200光年の距離にあるてんびん座のHD140283という星は、推定年齢が160億年とされてきた。この星は聖書の中に出てくる最高齢の人物の名前であるメトシェラをとってメトシェラ星とも呼ばれている。
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ビッグバンの時期が今からおよそ138億年前であるため、メトシェラ星は明らかにビッグバンより古いことになる。このことは宇宙物理学上の大きな疑問であり、ビッグバン理論の信ぴょう性をもゆるがす事象でもある。
しかもメトシェラ星は宇宙のスケールから考えれば、ほんの200光年しか地球から離れておらず、推定年齢データは、少なくともビッグバン理論ではじき出した宇宙の年齢よりは正確な値が求められていると考えるのは、ごく自然なことである。
ただし、今から6年ほど前、NASAはメトシェラ星の推定年齢を160億年から145億年±8億年に修正することを発表した。NASAによれば観測データを精査し、計算をやり直した結果であるとのことだが、当時、世の中では、誤差も含めるとメトシェラ星がビッグバン直後に誕生したと説明できるように修正したと受け止められ、つじつま合わせに過ぎないと批判的意見が大勢を占めていた。
現在の宇宙物理学の柱となっているのは、質量の大きな対象(つまりマクロ的な事象)については相対性理論であり、質量の微小な対象(つまりミクロ的な事象)については量子論であるが、それらの理論には非常に大きな隔たりがあり、その隔たりを埋め合わせるための理論は今のところ存在していない。
また恒星の年齢を推定するためのベースになっているのは相対性理論であり、宇宙空間が宇宙のどこにおいても、ほぼ一様な速度で膨張しているという観察結果に基づくビッグバン理論においても、相対性理論よりの考え方で宇宙の年齢が推定されている。ビッグバン理論において量子論的な考察がなされているのは、宇宙誕生直後における事象の推定についてのみである。
さらに言えば相対性理論の立場では時間や空間や重力の関係は説明できても、なぜ時間や空間が宇宙に存在するのかについては何も説明ができない。最近になり量子論的な立場から、宇宙空間の成り立ちについての説明がなされるようになってきたが、それが正しいと確信をもてる状況にはなっていない。
つまり、まだまだ人類の科学力では宇宙誕生のなぞについては解明できておらず、いまの科学レベルでもっとも正しいと人類が信じているものがビッグバン理論に過ぎないのだ。
メトシェラ星の年齢と宇宙の誕生時期に関する数字の上での矛盾は、宇宙の創造主がいじわるく人類に課している難題の一つとしてこれからしばらくの間、科学者たちの間では論争の的になっていくことだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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