大日本印刷、フランス国立図書館の文化財をデジタル化

2019年9月1日 10:35

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スタジオでデジタル化作業を行うDNP社員。(c)David Paul Carr/BnF

スタジオでデジタル化作業を行うDNP社員。(c)David Paul Carr/BnF[写真拡大]

 大日本印刷(DNP)は、フランス国立図書館(BnF)の所蔵する貴重なコレクションと歴史的空間をデジタル化し、保存並びに公開するための契約を締結したと発表した。

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 フランス国立図書館は、1367年に当時のフランス王が創立した王室文庫を起源とする、長い歴史と由緒を誇る大図書館である。日本の国会図書館と同じく、フランス国内で出版される全ての印刷物を保存するアーカイブとしての機能も持っている。

 現在の名前になったのは1994年であるが、中心となっている建物はリシュリュー館と言い、これは1721年に創設された。現在の建物自体は19世紀後半に建造されたものである。

 今回のDNPの参画は、そのリシュリュー館が創設以来初めての全館改修を行うことに伴ってのものである。BnFはただ図書を収集・保管するだけではなく、美術品、古貨幣などのコレクションも持っている。これを3次元データとしてデジタル化し、BnFの電子図書館である「ガリカ」で展示する。

 複雑かつ多様な質感・形状を持つ立体作品の3Dデジタル化によって、実物の鑑賞では難しい、あらゆる角度からの細部にわたる観察が可能になる。普通なら近付いて観ることはできない絵画・装飾なども、細部まで観ることができるようになる。

 具体的には、プトレマイオスの杯、ササン朝ホスロー一世の金・水晶製の杯(以上二つはサン・ドニ修道院の宝物)、アミコスの絵師の水瓶といった古代の美術品から、中世・ルネサンスの芸術作品まで、数々の作品がデジタル化される。

 リシュリュー館のリニューアルオープンは、同館がパリ・リシュリュー通り沿いに創設されてからちょうど300年の節目となる2021年に予定されており、今回のプロジェクトもそれに併せて遂行される予定となっている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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