プロも個人も高齢化が進むドライバー

2019年8月15日 09:12

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 7月25日に産経新聞が配信した「若者敬遠、老いるバス運転手 人手不足で路線縮小」と題する記事で、国土交通省の調べによると昨年6月時点のバスの運転手の全国平均年齢は51.2歳。10年前に比べると4.4歳上昇していると知った。

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 業務・個人にかかわらず高齢者による「車の事故」が懸念されている。

 私は諸々考えた末に過日、齢70歳にして運転免許書の更新をせず返納した。車も売却してしまった。暫くは不便を感じるだろうが返納による「特典」で凌ごうと思っている。返納時に「運転経歴証明書」なる「免許書似」の1枚と「特典1欄表」を貰った。

 私の住処(埼玉県)エリアで1割安になる「飲食店(当然、飲酒OK)」「タクシー会社」等々が記されていた。早速、返納後の帰り足に「所沢市で1割安になる」タクシー会社:西武ハイヤーを警察署前で拾い乗車した。

 その折、「バスの運転手が高齢化している。若い層に魅力に乏しい職種になっている」という報道が話題になった。タクシーの運転手は「我々の業界も同様。自分もそうだけどトラックの運転手や営業で車に乗っていた者が、定年後にタクシーに乗り換えるケースが多い。お客さんも80代近い運転手の車に乗ったことがあるはず」と話し始めた。

 私は「タクシーの運転手さんに定年というのはないの」と聞いた。「法律的な意味での定年はない」とした上で、こう続けた。「ですがタクシー会社が、独自の定年制を敷いているケースが大方。うちの場合は73歳。だがここにきて、運転手と会社側で75歳まで引き上げようという話し合いが始まっている。それもこれも、大きな理由は若い層がタクシードライバーに職業としての魅力を感じていないから」。

 現状では「73歳を過ぎたら1年更新の、いわばパート運転手になる。視力検査や認知症検査を行いながら」だという。タクシー運転手も高齢化が避けられない状況にある、というニュアンスだった。

 ただそんな中でも「一筋の光明がありましてね」と運転手は、嬉しそうに言った。「車好きの若い女性陣が、タクシー運転手になるケースが増えている。実はうちの娘もそうで、いまは朝8時から夕方6時まで乗車する“週4ドライバー”。10年続けて個人タクシーの資格を取るのだと言って」。

 確かに最近、女性運転手のタクシーに乗る機会が増えた。家の前で降りる際、貰ったばかりの運転経歴証明書を提示し「10%引き」の料金を払い領収書を貰った。そして瞬間、某大手損保の副社長氏のこんな言葉を思い出した。「損保に勤めていながら車の免許なし、という輩が少なくない」。

 少子高齢化の進捗は、プロドライバーの「高齢化」にもつながっている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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