国内旅行業者の売上高、2018年は4兆6758億円で前年比1.6%増 帝国データバンク調査

2019年8月9日 17:46

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 帝国データバンクが「国内旅行業者の経営実態調査」を発表し、訪日外国人旅行客に焦点を当てた企業などが売上を伸ばす中で、今後における一層の競争激化の可能性を指摘している。

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■売上高合計は前年比1.6%増

 8日、帝国データバンクが「国内旅行業者の経営実態調査」を発表した。これは、同社の企業概要ファイル「COSMOS2」から、2018年(2018年1月期~12月期)決算の年売上高が判明した国内旅行業者3047社についで、集計・分析したもの。

 過去3年分の売上高が判明した2,881社における2018年売上高合計は、4兆6,758億5,700万円で、2017年の売上高合計4兆6,034億3,200万円から1.6%増えた。ただし2016年の売上高合計は4兆4,020億円で、2017年の前年比は4.6%増となるため、伸び率はやや鈍っている。

■売上100億円超では増収企業が目立つ

 過去2年分の売上高が判明した2918社中、増収は634社、減収は576社、横ばいが1,708社だった。売上高が10億円未満までは全体と同様に横ばい企業数が多いものの、10億円を超えると増収の企業数が目立ってくる。

 特に100億円以上500億円未満のレンジでは、増収が22社に対して、減収は9社、横ばいが12社。500億円以上1,000億円未満では増収5社、減収2社、横ばいがゼロとなる。ただし1,000億円以上になると、増収3社に対して、減収1社、横ばい5社となっている。

 増収の要因として、宿泊代の値上がりによる客単価の上昇、訪日外国人向けに文化体験型ツアーの効果、海外法人との事業提携や海外サイトのクチコミなどが奏功したという。

■売上高トップはエイチ・アイ・エスの約4,596億円

 売上高トップはエイチ・アイ・エスの4,596億2,700万円。ついで、日本旅行(4,297億6,600万円)、ジャルパック(1,751億2,400万円)、クラブツーリズム(1,622億4,400万円)、ANAセールス(1,559億900万円)、JTB(1,395億2,800万円)、東武トップツアーズ(1,388億6,700万円)、名鉄観光サービス(1,174億1,600万円)、JTBビジネストラベルソリューションズ(1,151億1,300万円)、ジェイアール東海ツアーズ(989億400万円)と続いている。

■厳しさが増す小規模業者

 従業員数別では10人未満の企業数が2,436社と79.9%を占めている。以下、10人以上100人未満が531社(全体の17.4%)、100人以上1,000人未満が71社(同2.3%)、1,000人以上が9社(同0.3%)となっている。

 経済産業省の発表によると、旅行関連サービスのEC市場規模は、前年比10.27%増の3兆7,186億円と市場の拡大が見込まれており、近年では店舗を持たないオンライン旅行会社が増えているとある。ただし、旅行予約サイトの比較が増えることなどで競争が激しくなるため、小規模業者の淘汰が進む可能性を指摘している。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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