遊園地・テーマパーク企業、18年は積極投資で増収企業が増加 帝国データバンク調査

2019年7月19日 21:06

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 帝国データバンクの調査によると、遊園地・テーマパーク企業の2018年決算では、積極的な投資を背景に、中小規模の企業を中心として増収となった企業が増えたことが分かった。

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■2018年の収入高は微増

 18日、帝国データバンクが2018年決算における「遊園地・テーマパーク経営企業の実態調査」を発表した。これは、同社のデータベース「COSMOS2」などから遊園地・テーマパーク経営企業のうち、2016~18年の3期連続で収入高が判明した162社を対象として集計・分析したもの。

 162社の収入高合計は8,711億8,300万円で、前年比1.6%増となった。増収企業数は53社で前年の41社から12社(7.4ポイント)増。減収企業数は33社で前年の49社から16社(9.8ポイント)減となった。また横ばい企業は76社(前年72社)だった。

■積極的な投資で売上が好調に

 収入規模別でみると、収入高500億円以上の企業は3社で、そのうち増収が1社、横ばいが2社(前年は2社中、増収1、横ばい1)。100億円以上500億円未満の7社では増収が3社、減収が2社、横ばいが2社(同7社中、増収2、減収1、横ばい4)。10億円以上100億円未満の55社では増収が24社、減収が9社、横ばいが22社(同55社中、増収15、減収20、横ばい20)。

 全体の59.9%を占める10億円未満の97社では増収が25社、減収が22社、横ばいが50社(同95社中、増収23、減収28、横ばい47)となっており、中小規模の企業で売上を増やした企業が多めになっている。

 こうした原因について、「災害や天候不順による影響を受けた」減収企業があった一方、「エリアの拡大や新アトラクション、イベントへの積極的な投資」で収入アップを図った企業が多かったという。

■近畿、甲信越、九州・沖縄などが好調

 地域別でみると、前年比マイナスとなったのは北陸(前年比:6.7%減、以下同じ)、中国(1.4%減)のみ。その他の地域では、北海道(3.4%増)、甲信越(4.6%増)、近畿(6.7%増)、九州・沖縄(4.0%)が好調、東北(1.7%増)、東京を除いた関東(0.3%増)、東京(2.8%増)、東海(1.3%増)、四国(0.9%増)が堅調だった。

■収入トップはオリエンタルランドの4,081億円

 収入高でトップは東京ディズニーリゾートなどを運営するオリエンタルランドの4,081億5,000万円(前年比0.4%増、以下同じ)。

 ついで、東京ドームの613億6,900万円(0.8%減)、バンダイナムコミュージアムの504億3,000万円(6.7%増)、富士急ハイランドの富士急行が290億3,700万円(5.4%増)、ハウステンボスが262億5,800万円(3.1%減)、鈴鹿サーキットのモビリティランドが258億400万円(3.5%増)、ナガシマリゾートの長島観光開発が253億6,500万円(2.6%減)、西武園遊園地やとしまえんなどを運営する西武鉄道が220億9,500万円(6.2%増)、よみうりランドが199億5,300万円(1.1%減)、スパリゾートハワイアンズの常磐興産が129億3,200万円(2.1%増)なでが続く(ユニバーサル・スタジオジャパンを運営するユー・エス・ジェイなどは業績が判明しないため対象外)。

 今後については、増収基調を「持続させるための企画力とそれに付随する投資で他社との差別化が必要」なことから、「資金力の厳しい企業と大手ではますますの格差拡大も懸念される」としている。

 また増加する訪日外客数に対して売上の伸びが鈍いことから、「インバウンドの取り込みの余地もまだある」点や消費動向の変化を踏まえて、「引き続き動向が注目される」としている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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