銀河団衝突時に発生した衝撃波 史上初の観測に成功 理研

2019年7月10日 11:29

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確認された銀河団衝突の瞬間 白破線は衝撃波の位置を示す(写真:理化学研究所の発表資料より)

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 理化学研究所(理研)は8日、2つの銀河団が衝突した際に発生すると予想されていた衝撃波の観測に初めて成功したことを発表。今回の成果は、宇宙の構造形成の解明に貢献すると期待される。

【こちらも】初期宇宙の物質はどの様に誕生したのか メカニズムの一端を測定 理研の研究

■宇宙の構造に支配される銀河の分布

 数百億から数千億個の星から構成される銀河が数百個集まった天体が銀河団である。銀河団は重力によって束縛された天体としては宇宙で最大だという。

 宇宙内での銀河の分布は均等でない。銀河のほとんど存在しない「ボイド」と、数千億個もの銀河が集まった「銀河フィラメント」とが複雑に入り組んだ泡のような構造を宇宙はもつ。銀河団はこの銀河フィラメントの一部に相当する。

 銀河団は約138億年前に発生したビッグバン以降、衝突や合体を繰り返すことで成長したと考えられる。銀河が衝突する際に放出されるエネルギーは膨大であるため、宇宙の構造にも影響を及ぼす。そのため、銀河団の衝突現象の理解が宇宙の構造形成解明に不可欠だという。

■特殊な電波を作り出す衝撃波

 理研などを含む国際研究グループが着目したのが、銀河団衝突時に発生する衝撃波だ。衝突の瞬間の衝撃波は計算機上で予想されるだけで、観測的に確認されたことはない。

今回、X線天文衛星「すざく」や欧州の低周波電波望遠鏡「LOFAR」、インドの巨大メートル波電波望遠鏡「GMRT」等を用い、地球から約12億光年彼方で銀河団が衝突する瞬間をとらえるのに成功した。

 観測の結果、2つの銀河団の中間に7000万度の高温プラズマが帯状に存在し、衝突軸に対し垂直に衝撃波が存在することが判明した。また2つの銀河団の中間に存在する電波の放射が長波長のみで明るいスペクトルをもつことも明らかになった。この特殊な電波は通常の天体から放射されたのではなく、衝撃波によって再加速されたため発生したと研究グループは考える。

 銀河団衝突により発生する衝撃波は、周辺の大規模構造まで伝播するという。今回の成果をもとに銀河団の進化過程が解明され、宇宙の大規模構造形成の理解が深まると、研究グループは期待を寄せている。

 研究の成果は、英Nature Astronomy誌にて6月24日付で掲載された。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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