初期宇宙の物質はどの様に誕生したのか メカニズムの一端を測定 理研の研究

2019年6月20日 17:15

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クォーク・反クォーク対生成後に2次的に発生するハドロンのイメージ図。(画像: 理化学研究所の発表資料より)

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 理化学研究所は6月15日、仁科加速器科学研究センターの研究チームが、加速器実験により、素粒子の一種である「クォーク」から複合粒子「ハドロン」が生成される際の運動量を測定することに、初めて成功したことを発表した。この研究成果は、宇宙初期にどのように物質が生成されてきたか、そのメカニズムの解明に寄与するものである。

【こちらも】ビッグバン直後の宇宙初期に空間を満たした物質の生成に成功 理研ら

■宇宙創成時のクォークスープ

 ビックバン宇宙論では、初期の宇宙は高温・高圧の火の玉であったとされている。その火の玉の中身とはどのようなものだったのか?

 高温・高圧になる程、物質はどんどんバラバラになっていく。つまり、原子が原子核と電子に分解し、原子核は陽子と中性子に分解する。さらに陽子や中性子はクォークという素粒子に還元される。

 初期の宇宙は、高温・高圧のため、クォークのスープ状態になっていたと考えられる。ビックバンから約1万分の1秒後、クォークが結合して陽子や中性子ができた。この陽子や中性子のことを素粒子物理学では「ハドロン」と呼ぶ。

 一方で、質量がほぼないクォークから、質量を持つパドロンがどの様に生成されたのかについては、まだ判明していない。

■量子色力学

 クォークを結び付けて陽子や中性子を構成している力は「強い力」と呼ばれている。自然界にある基本的な力として我々に馴染みがあるのは、重力と電磁気力だ。

 2つの物体が引き合う重力は、2つの質量の積に比例し、2つの電荷の間に働く静電気力は電荷の積に比例する。クォークに働く「強い力」においては、質量や電荷に相当する属性を「カラー(色)」と呼んでいる。

 カラーは光の三原色から発想されたもので「赤」・「青」・「緑」の3種類がある。陽子や中性子などのハドロンは、全体で「白色」となるように「赤」・「青」・「緑」のカラーのクォークが結合している。

■今回の研究

 実験では、ほぼ光速に加速された電子と陽電子を正面衝突させ、その反応を確認した。電子と陽電子は対消滅し、クォーク・反クォークが対生成され、最終的にはハドロンが生成される。

 クォークが対生成した方向に視線を置くと、ハドロンが横に飛びだすように見える。この横向きの運動量成分を横運動量という。

 今回の研究では、ハドロンの横運動量とエネルギーとの関係性を測定した。横運動量は「強い力」の働きを理解する上で欠かせないパラメータで、基礎理論のみでは算出できない。測定の結果、粒子の種類によって、横運動量の挙動が異なることが分かった。

 この成果は、クォークからハドロンの生成過程の理解に役立ち、初期宇宙の物質生成の謎解明につながると期待される。

 今回の研究成果は、米国の科学雑誌「Physical Review D」オンライン版に6月14日付けで掲載された。(記事:創造情報研究所・記事一覧を見る

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