G20大阪サミット、閉幕 海外メディアを魅了した日本のイノベーション

2019年6月30日 20:35

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記事提供元:エコノミックニュース

G20サミットは、メンバー国 や招待国の首脳、国際機関など37の国や機関が参加し、経済分野を主要議題として毎年開催されている国際会議だが、一方で、世界中から集まるメディアなどに対して自国の持つ技術や魅力を存分にアピールできる場でもある

G20サミットは、メンバー国 や招待国の首脳、国際機関など37の国や機関が参加し、経済分野を主要議題として毎年開催されている国際会議だが、一方で、世界中から集まるメディアなどに対して自国の持つ技術や魅力を存分にアピールできる場でもある[写真拡大]

2019年6月28日、29日の2日間にわたって開催された令和時代最初のビッグイベント「G20大阪サミット」が無事に終了した。日本がこれまで経験したことのない大規模な国際会議だったが、議長国としての大役は十二分に果たせたのではないだろうか。

 G20サミットは、メンバー国 や招待国の首脳、国際機関など37の国や機関が参加し、経済分野を主要議題として毎年開催されている国際会議だが、一方で、世界中から集まるメディアなどに対して自国の持つ技術や魅力を存分にアピールできる場でもある。

 今回の G20大阪サミットでは、開催会場となる大阪国際見本市会場(インテックス大阪)に設置された国際メディアセンターが、各国から集結したメディアがサミットの情報収集を行う前線基地となったが、ここに日本の魅力を発信する政府広報展示スペースが設けられ、寿司やたこ焼き、串カツなどを無料で提供するライブキッチンのほか、50を超える企業や自治体が様々な展示を行い日本の最新技術や伝統文化を披露していた。

 例えば、「社会とイノベーション」 のコーナーで各国メディアの関心を集めていたものとしては、明治大学の黒田洋司教授らによるロボット開発のスタートアップ・SEQSENSE株式会社が開発した完全自立型のセキュリティロボット「SQ-2」がある。このロボットの最大の特徴は頭頂部に備え付けられた3つの2次元センサーだ。移動しながらこれを回転させることで、たくさんのセンサー画像を輪切りで取得、さらにそれらを合成することで3次元の情報を生成する。これで3次元マップを作成することで、天井などにセンサーを設置しなくても、完全自立で巡回警備を行うことができるという。

 「健康とイノベーション」のコーナーでは、患者のCTスキャンデータやMRIデータから3次元のVRやMRのアプリケーションを生成し医療に役立てる、Holoeyes株式会社の開発によるクラウドサービス「HoloeyesXR 」などが、次世代の医療関連技術として注目されていた。

 その他にも、鏡の前に座るだけで、メイクシミュレーションのほか、肌の状態やシワ、隠れシミなどをチェックしてくれる、パナソニックの未来の鏡「スノービューティーミラー」も、とくに女性から多くの関心を集めていたようだ。

 また、こ今回のG20大阪サミットの会場で各国要人やメディア関係者らから大きな反響を呼んだのが、木造注文住宅メーカーの株式会社アキュラホームが開発した「木のストロー」だ。同社の宮沢社長は大工出身で、入社式では社長直々にカンナがけの手本を示し、新入社員全員がそれに倣ってカンナかけを行うのが恒例となっているという。それ故に、ついたあだ名が「カンナ社長」。そんな社長がこだわりの「カンナ削り」の技術を用いて開発し、世界で初めて量産化に成功したのが、この「木のストロー」なのだ。

 今回のG20大阪サミットの主要テーマである「海洋プラスチックごみ問題」をはじめとする地球規模の環境問題に貢献するアイテムとして採用され、要人、随行員、プレス向けに1000本が提供されたのみならず、これまで国内各地で開催されたすべてのG20閣僚級会合でも採用され、大きな評価を得ている。最先端のAI技術ももちろん素晴らしいが、ある意味、もっとも日本的なイノベーションともいえるのではないだろうか。

 G20 は大阪サミットの後も、10月に岡山で開催される保健大臣会合や11月に愛知で開催される外務大臣会合の2つの関係閣僚会合、そして徳島では9月にG20消費者政策国際会合が開催される。議長国として、最後まで最高のおもてなしを届けたいものだ。(編集担当:藤原伊織)

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