ビッグバン直後の宇宙初期に空間を満たした物質の生成に成功 理研ら

2018年12月14日 17:10

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異なる原子核同士を衝突させることで、3パターンのクォーク・グルーオン・プラズマが生成される (c) Javier Orjuela Koop

異なる原子核同士を衝突させることで、3パターンのクォーク・グルーオン・プラズマが生成される (c) Javier Orjuela Koop[写真拡大]

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 理化学研究所(理研)は11日、「クォーク・グルーオン・プラズマ」と呼ばれる宇宙初期の物質を生成したことを発表した。理研の秋葉康之氏が、実験を実施したPHENIX実験国際共同研究グループのリーダーを務めている。

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■5番目の物質状態「クォーク・グルーオン・プラズマ」

 物質の状態として馴染みのあるのが、固体、液体、気体の3種類だ。物質が固体の状態にある場合、個々の分子はエネルギーを多く保持しないため、分子間力によって状態は保持されたままである。液体状態にある物質は、分子間で影響を残しつつも、移動できるだけのエネルギーをもつ。気体は高いエネルギーをもつため、目では追えないくらい分子が高速に移動することが可能だ。

 4番目の物質状態が「プラズマ」である。気体が非常に高いエネルギーを持つと、多くの電子が原子から離れて自由に運動可能になるため、気体がつくる雲の中で原子核から電子が離れる。プラズマ状態は地球上では珍しいものの、オーロラや雷として目撃できる。

 しかしさらに珍しい物質状態が「クォーク・グルーオン・プラズマ」である。ビッグバンが発生した数千分の1秒のち、宇宙は非常に高温で濃度の高い状態であったため、原子さえ形成できなかった。代わりに、数兆度の温度に達する「クォーク・グルーオン・プラズマ」と呼ばれるクォーク(素粒子の一種)の「スープ」で空間が満たされていたと考えられる。

■実験で3パターンのクォーク・グルーオン・プラズマを生成

 PHENIX実験国際共同研究グループは、米ブルックヘブン国立研究所のRHIC衝突型加速器を用いて、ヘリウム3、陽子、重陽子の各原子核を金の原子核に衝突させる実験を実施。その結果、クォーク・グルーオン・プラズマが生成したであろう強い証拠を入手したという。

 金の原子核のように重い原子核同士を高いエネルギーで衝突させると、原子核内の陽子や中性子が融合する。その結果、クォークとグルーオンといった素粒子からなるクォーク・グルーオン・プラズマが生成されるという。

 金の原子核に衝突させる原子核の違いにより、円、楕円、三角の3種類のパターンが得られることも判明した。このことは、小さな原子核と大きな原子核とを衝突させると、クォーク・グルーオン・プラズマが生成される強い証拠となる。

 科学者は宇宙の初期に起こった現象を理解するため、クォーク・グルーオン・プラズマの振る舞いを研究することが重要だと考える。今回の研究成果を踏まえると、誕生から数マイクロ秒後の宇宙で、クォーク・グルーオン・プラズマがどのように冷却されたかを解明できるようになるという。これにより、原子の誕生を調査する方法を手に入れ、初期宇宙の謎解明につながるとしている。

 研究の詳細は、英科学誌Nature Physicsのオンライン版に日本時間の11日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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