木星の衛星エウロパ、塩水からなる海が存在か 生命の可能性に期待高まる

2019年6月19日 17:55

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NASAによるエウロパ表面のイメージ。左側の黄色がかった部分が、塩化ナトリウムの濃度が濃い部分。(c) NASA/JPL/University of Arizona

NASAによるエウロパ表面のイメージ。左側の黄色がかった部分が、塩化ナトリウムの濃度が濃い部分。(c) NASA/JPL/University of Arizona[写真拡大]

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 ガリレオ衛星と呼ばれる木星の4つの衛星は、小口径の望遠鏡でもよく見え、月以外では最もなじみ深い衛星である。

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 そのうちの一つであるエウロパは、水を主成分とする氷の地殻で覆われ、以前から、その下に海の存在が予測されていた。最近のカリフォルニア工科大学の研究により、この星の表面に塩化ナトリウムの存在が確認され、これは、塩水からなる海が存在する間接的証拠だと考えられるという。

 塩化ナトリウムは赤外線波長(数ミクロンから1mm程度の波長)では明瞭なスペクトルが得られないため、観測が困難だった。だが最近になり、塩化ナトリウムの存在を示す証拠を、カリフォルニア工科大学の研究チームが突き止めた。

 エウロパの表面から発せられる太陽の反射光を、ハッブル宇宙望遠鏡のイメージングスペクトログラフで観測したところ、可視光波長である450nm付近に明確な吸収特性が見られた。これが塩化ナトリウムの存在を示す明確な証拠となったのである。

 これを裏付けるために、研究チームは地上での検証実験を実施した。地上で強い放射線環境に塩化ナトリウムを置き、その反射スペクトル特性を確認しておいたのである。このデータでも450nm付近に吸収スペクトルが見られたため、研究チームはエウロパ表面に塩化ナトリウムが存在することを確かめたという。

 研究チームはこのことを利用し、エウロパ表面の塩化ナトリウムの分布地図を作製した。その結果、明らかに濃度が濃い海に相当する部分と、薄い氷に相当する部分があることを突き止めたのである。

 地球の海と同様の、塩水からなる海の存在がもし確実であれば、生命誕生のための環境が整っている可能性も高まる。だがこの研究は、始まったばかりであり、まだまだ解明すべき課題も多い。

 エウロパに存在するかもしれない住人が知的生命体であれば、電波で自分の存在を主張するはずだが、人類がこれだけ知恵を絞り、テクノロジーの粋を集めて探索しているのに、いまだにどの星にも生命存在の証拠を見出せないのは、相手がかなり原始的な生命体だからだろう。

 太陽系には塩水の海を持つエウロパや、メタンの海を持つタイタンがある。いずれも生命の存在に期待がかかるが、地球と全く異なるタイプの生命体を人類はまだ見たことがないため、未知の生命体の存在確認には、これまで以上に想像力を逞しくし、あらゆる可能性を視野に入れた探索が求められることになるだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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