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再利用可能な降着装置の試作品 (c) Kiyomi Taguchi/University of Washington[写真拡大]
米ワシントン大学は、折り紙を活用した物質が宇宙船の再利用に役立つことを発表した。この物質を宇宙船の降着装置に活用すれば、着陸の際の衝撃を緩和できるという。
【こちらも】宇宙ロケットの再利用は可能なのか?JAXAが実験開始
■再燃する再利用可能な宇宙船開発
再利用可能な宇宙船として最初に開発されたのが、米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトルである。1981年から2011年まで135回もの打ち上げに成功した。その一方で1986年のチャレンジャー号爆発事故や、2003年のコロンビア号空中分解事故が発生し、安全面での不安等の理由からスペースシャトルは退役、以後、再利用可能な宇宙船は打ち上げられていない。
スペースシャトル以来の再利用可能な宇宙船を開発したのが、イーロン・マスク氏が率いる米宇宙ベンチャーSpaceXだ。同社が開発した再利用可能なロケットFalcon 9は、3月には搭載された宇宙船ドラゴンが、国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功している。
Falcon 9の再利用を可能にしているのが、降着装置に搭載された「クラッシュコア」である。アルミニウムからなるハチの巣構造をしたクラッシュコアによって、着陸時の衝撃を緩和することができる。再利用可能な降着装置の研究・開発はクラッシュコア以外にも行われている最中である。
■折り紙からヒントを得た素材
着陸地点からの衝撃力のため、宇宙船の着陸はロケットの足に負荷をかける。これを克服する1つの方法が、力の一部を吸収する素材で足を作り、衝撃を和らげることだ。
ワシントン大学の研究者らによる研究グループが着目したのが、日本の「折り紙」である。折り紙の仕組みを踏襲したメタマテリアル(人工物質)を鎖状に組み合わせることで、地面からの衝撃を和らげて緩和する力を増進できるという。
メタマテリアルは、おもちゃのブロックのようにユニットを組み合わせることで完成される。このユニットの組み合わせ方によって、地球上には現存しない特殊な属性が生み出される。折り紙は、折り曲げたり戻したりすることで剛性を変化させられる。研究グループこの性質に着目して利用、ユニットを鎖状につなげたシリンダー状の試作品が完成した。
「現在のところは紙で作られているが、今後は合成素材を使うことを計画中だ。理想をいうと、個別の事例に対し素材が最適化されることだろう」と、研究を主導する同大学のJinkyu Yang准教授は述べている。
研究の詳細は、米科学誌Science Advancesにて24日に掲載されている。さ(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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