地域金融機関に見られ始めた「自助努力」という名の「生き残り策」

2019年5月15日 16:51

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 日銀は4月30日、「10年後に国内で営業する地方銀行の約6割で、純損益が赤字になる」という試算を公表した。同時に「(回避策として)金融機関の統合・提携や、他業態との連携も有力な選択肢となりうる」と提言した。

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 メガバンク/大手証券然りで、金融機関の厳しさは言うまでもなく「地方銀行」に止まらない。地域金融機関である信用金庫・信用組合、さらに言えば体力に乏しい「中堅・中小証券」も同様の位相に置かれている。

 生き残り・勝ち残りのためには行政の「統廃合」路線に身を委ねるだけでは、らちがあかない。企業努力と自らが積極的に取り組まなくてはならない。そうした「自助努力」の動きが見え始めてきてはいる。

 信金にあっては「優良組」に数えられる京都信用金庫は4月17日、税理士団体「TKC」の近畿京滋会と業務提携をした。京都信金の狙いは、TKCが収集した京滋(京都・滋賀地域)の取引先企業の決算や財務内容をリアルタイムで把握・分析しビジネスに活かすことにある。

 取引先企業に協業先等を紹介する(マッチングする)。事業継承や人手不足企業への課題の解決策を検討し、提案する(ビジネス対象拡大)。等々である。TKC側も新規顧客の開拓「京都信金の仲介」は大きな武器になる。


 そして京都信金の発表の前日16日には、東京多摩・埼玉南部を地盤とし私の「年金受け取り機関」でもある青梅信用金庫が、「中堅証券:藍澤証券」との「包括的業務提携」を発表した。両社とも「地域との共生/持続可能な地域社会づくり」を標榜している。包括的業務提携の内容は以下に、収斂される。

★創業支援事業: 双方の主たる営業エリアで、創業に関するセミナー等の共同企画/事業計画書作成相談会の共同開催/創業補助金の活用・コンサルティング。

★地域創生・街づくり: 両社主催の地域物産展開催などの積極展開。

★クロスボーダー(域外)ビジネスマッチングの展開。

★海外ビジネス支援事業: 藍澤証券がアジア株の取引を通じアジア12市場に持つネットワークを活かし、事業者の海外進出を支援する。

★相互顧客紹介: 藍澤証券は融資ニーズを有する顧客を、青梅信金は資産運用ニーズを持つ顧客を相互に紹介し合う

 藍澤証券は進出している地域でこれまでにも地域金融機関や大学と提携し、エリア顧客の開拓に努めてきた実績がある。が、環境の厳しい証券界にあっては、進出エリアで大手証券に囲まれ苦戦を強いられている(2019年3月期: 29・6%の営業収益減、19億8700万円の営業損失)。

 しかし「提携路線変更は、より厳しい状況に陥りかねない」という認識が強い。「堅実」の評価もある青梅信金とて、また開示済みの19年3月期中間期の「預かり資産残高:前年同期比ほぼ横ばい」「経常利益:同横ばい」「純利益:同2億円減」と、手をこまねいてはいられない状態にある。

 記した提携が結実するか否かは、時間の経過を待たなくてはならない。だが「先んずれば他人(ひと)を制す」は、世の常である。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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