ディズニー映画からインスピレーション! ダークマターを検出する道具とは?

2019年4月26日 19:49

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 宇宙に存在する物質の約85%が、目に見えない「ダークマター(暗黒物質)」と呼ばれる物質だ。ダークマターの正体は未だ発見されておらず、諸説ある。このダークマターを検出できる道具が開発されたという。それが「雪の箱(Snowball Chamber)」と呼ばれるものだ。

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■過冷却水を封じ込めた「雪の箱」

 スノーボール・チェンバーを開発したのは、米ニューヨーク大学オールバニ校のMatthew Szydagi助教授だ。Szydagi氏はディズニーが2013年に公開した「アナと雪の女王(原題はFrozen)」を鑑賞し、雪の箱のアイディアを発案したという。

 水は通常、温度が摂氏零度以下になると、固体へと相転移する。ところが水を液体の状態のままで、摂氏零度以下に温度変化させられる。これが「過冷却」と呼ばれる状態である。過冷却状態にある物質は不安定な状態でも完全に安定した状態でもない「準安定状態」へと変化する。

■ダークマターの検出に役立つ過冷却水

 実験室で水を液体のままでマイナス4度の状態に変化させ、箱の中に注ぎこむと、雪の箱が作り出される。この雪の箱がダークマター発見につながるのは、過冷却水が準安定状態にあるためだ。

 電子のような荷電粒子で衝撃を加えると、準安定状態にある過冷却水は氷へと相転移する。この性質を利用し、過冷却水の相転移により質量の低いダークマター粒子の検出を行うという。研究グループによると、ダークマター粒子検出のために数百キログラムもの過冷却の水が必要だという。

■軽い粒子の検出にも応用可能

 ダークマターを直接観測しようという実験のほとんどは、ダークマター粒子を原子核に衝突させて行われる。ダークマター粒子が原子核に衝突する時に、核反応によって放射線を出すと原子核は反跳し、高エネルギー状態へと遷移する。この原子核の反跳を観測することがダークマター粒子検出につながるという。

 ただしダークマターを検出するためには、電荷を帯びやすい他の粒子が与える影響を排除する必要性がある。研究グループによると、「雪の箱」の場合は、電荷を帯びた粒子があったとしてもその有効性は変わらないという。

 ダークマター粒子が「雪の箱」内部を通過する時、過冷却水にある原子核にわずかな衝撃が加えられると、氷へと変化する。ほかの核生成の可能性が排除されるならば、ダークマター粒子との相互作用が発生したと判明するという。研究グループによると、雪の箱はダークマター粒子のような陽子の数十倍未満の質量をもつ粒子の検出にも役立つとしている。

 研究は14日、米コロラド州デンバーで開催された米物理学会総会にて発表が行われ、プレプリントサーバーarXivに論文が公開されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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