カルロス・ゴーン被告の事件は、刑事司法改革の突破口となるか?

2019年3月7日 17:13

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 経営者として世界的に高い知名度があったゴーン被告の長期にわたる拘留に対して、海外から批判の声が上がっている。主には、否認していると保釈されないため拘留期間が長くなる傾向がある、罪名が同じなのに再逮捕される、弁護士が取り調べに同席できない、などだ。

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 刑事司法は国ごとの固有の歴史や文化により醸成されて来た経過があるため、同じ制度を運用する国はない。我々も、アメリカや中国の刑事裁判事例を目にして強い違和感を抱いて来た人も多いことだろう。

 今回は海外の目が日本に違和感を抱いている。本来的には自国の制度に自信を持って運用すべきであるし、誤解があるとすれば積極的に説明することも必要だ。批判にたじろいだり迎合的な対応を取る必要はないが、今までやって来たことに改善の余地が全くないと、頑なに肩ひじを張ることも妥当でない。

 被告が容疑を否認したまま保釈に応じると、証拠隠滅の恐れがあることは、論を俟たない。反面、拘留が長期化すると「人質司法」なのではないかという指摘にも一理ある。関係者全員が納得できる制度を構築することは不可能であるが、合意形成を図る努力は必要だろう。

 「内心」というのは、外部に表現しない気持ちであり、本人にしか分からない。例えば、「詐欺を働く意思があったかどうか」に対して、本人がどう言ったかを読み解く微妙さがある。そして日本の法廷では、「内心」の立証を強く求めるため、本人の供述を得るための取り調べが続けられる。小手先の改革では対応できない背景がある。

 フランスの「予審」捜査は最長で約4年の拘留が認められているし、治安上の理由であれば逮捕令状なしで身柄の拘束を可能にするシステムなどは、日本人には馴染みがなく、反発する人も多いだろう。だが日本で行われていないからと言って、フランスの制度にくちばしを挟むのも妥当ではない。

 注目されるのは、保釈されたゴーン被告がどんな言動を見せるかということである。拘留中も再三「自分は無罪だ」とメッセージを打ち上げて来た経緯を考えると、大人しくしていることは考えにくいが、あまり調子に乗って発言すると、墓穴を掘って裁判の進行に悪影響を与えかねない。弁護士から十分注意を受けているだろうが、どこまで我慢が続くものだろうか。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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