倒産企業の平均寿命、2018年は23.9年 3年ぶり上昇 東京商工リサーチ調査

2019年2月4日 12:03

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 東京商工リサーチが1月31日に発表した調査結果によれば、2018年に倒産した国内企業の平均寿命は、前年より0.4年伸びて23.9年となった。産業別では、平均寿命が最も長かった製造業が33.9年だったのに対し、最も短かった金融・保険業は11.7年で、格差は前年の16.5年から22.2年へ広がった。業歴30年以上の老舗企業と業歴10年未満の新興企業で比べると、倒産企業に占める老舗企業の割合は32.7%と前年から1.5ポイント上昇したのに対し、新興企業は同24.8%と前年から0.3ポイントの上昇にとどまった。

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 調査は、2018年に負債総額1,000万円以上で倒産した国内の企業8,235件のうち、創業年月が明確な7,009件を対象に東京商工リサーチが分析したもの。倒産企業の平均寿命は23.9年で、前年から0.4年上昇した。前年比で上昇したのは3年ぶり。産業別の平均寿命が最も長かったのは製造業の33.9年で、2011年から8年連続での上昇となった。2位以下は、卸売業の27.1年、運輸業の25.9年、農・林・漁・鉱業の25.1年、そして建設業と小売業が24.2年と続いた。最も短かったのは、金融・保険業の11.7年で、前年から4.7年短くなった。

 倒産企業に占める業歴30年以上の老舗企業は2,292件と構成比では32.7%で、前年から1.5ポイント上昇し、直近の15年間で最高となった。老舗企業は長年の実績や蓄積された内部留保などから金融機関や取引先などの信用が高いものの、過去の成功体験に頼り新規事業のための投資を意思決定できないなど、マイナス面もある。近年は、後継者不在に起因する倒産も少なくない。


 一方、業歴が10年に満たない新興企業の倒産は1,745件と構成比では24.8%となり、前年から0.3ポイント上昇。国や地方自治体が創業支援に積極姿勢を示す中、事業計画の甘い状態で経営をスタートさせるケースも見られた。

 亀井静香金融相(当時)の提唱で2009年12月に中小企業等金融円滑化法が施行され、業績不振の中小企業の多くが、一時的ながら資金繰りを改善させた。同法は2013年3月末に期限を迎えたものの、金融機関が引き続き円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべきとの金融庁の方針により、リスケ対応が継続され、延命した企業がさらに平均寿命を延ばした。2018年には金融機関が取引先の将来性を重視する『事業性評価』を徐々にスタートさせたことも、中小企業の平均寿命を押し上げる一因となった。
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