GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)包囲網が進行中 (前編)

2018年11月1日 19:40

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 GAFA包囲網の1つ目は課税強化だ。10月29日、イギリスのハモンド財務相は19年度の予算案に関連して、新デジタル税制の導入を公表した。税制のアウトラインは、世界における売上高が年間5億ポンド(約720億円)を超える事業部門を対象とし、年間4億ポンド(約570億円)の税収を見込むものだ。最近世界を席巻するネットショッピングの利用者に対する課税ではなく、ウェブサービスの事業者の“売上”に対する課税である。

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 現在の国際課税ルールは、企業への課税を支店や工場などの拠点で生み出された利益を元に算定することが原則になっている。ところが、主にウェブサービスを通じて世界中にサービスを広げ、それをもとに利益を上げるビジネスモデルを構築したGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)と呼ばれる大手IT(情報技術)企業に対して、現行の課税ルールが十分に対応できていないとの批判が燻っていた。

 3月に開催された欧州委員会では、IT企業への適切な課税ルールの見直しと、見直しまでの暫定措置として課税対象を利益から売上高に変更して課税逃れを防ぐ、「デジタル・サービス税」の導入が“提案”された。9月8日に開催された欧州連合(EU)の財務相理事会では一歩進んで、IT分野の大企業を主たる対象とするデジタル・サービス税の導入が“協議”された。デジタル・サービス税とは企業の拠点の有無にかかわらず、サービスが提供された国での売上に課税する仕組みである。今までは利益に対して課税することが原則だったが、利益にこだわっていると世界に広大なネットワークを持つグローバル企業の節税策に後れを取り、適切に課税できないというジレンマが問題となっていた。

 ブレグジットの最終段階にあるイギリスは、EUを離れる直前にEUの動きを先取りしたことになる。ブレグジット後にEUの決定に追随するなんてことは、「大英帝国」の誇りが許さないのだろう。

 他国の思惑に頓着しない国はもっと早くに対策を始めている。イスラエルが16年に導入した税制は、国内支店の有無にかかわらずネットサービスを提供している企業に対して法人税を課すというものだ。インドも同じ16年に、海外企業のネット広告の販売売上に対して6%の法人税を課すことにした。両国がどんな企業を念頭において、新しい税制を始めたのかは、言うだけ野暮というものだろう。

 ただ、巨大IT企業の母国とも言えるアメリカやアリババ・テンセントなどの新興IT企業の母国である中国はEUの動向に反発もある。世界各国の利害は分野ごとに共有され、相反しているという複雑さを抱えている。貿易戦争と喧伝されているアメリカと中国の利害対立は、この分野では共有されているかのようだ。

 19年に日本では初めて開催されるG20(金融・世界経済に関する20か国の首脳会合)でも取り上げられるテーマで、議長国である日本にも悩ましい議論が予想される。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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