富士通、GaN HEMTの世界最高出力 19.9ワット/ミリメートルを達成

2018年8月13日 08:00

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図2:GaN HEMTトランジスタ構造と従来技術との出力の比較(富士通の発表資料より)

図2:GaN HEMTトランジスタ構造と従来技術との出力の比較(富士通の発表資料より)[写真拡大]

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  • 図1:結晶破壊のメカニズムと開発した結晶構造(富士通の発表資料より)

 富士通と富士通研究所は10日、気象レーダーなどのパワーアンプに適用可能な窒化ガリウム(GaN)高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor :HEMT)(GaN HEMT)において、大電流化と高電圧化を同時に達成する結晶構造を開発したと発表。マイクロ波帯の送信用トランジスタとしては従来比3倍の高出力化に成功した。

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 半導体パワーデバイスの一種であるGaN HEMTの大電流化と高電圧化を達成。パワーデバイスとは、交流や直流を各機器が使いやすい様にするものである。例えば、交流を直流に変える整流、交流の周波数を変える周波数変換、直流電位の昇圧や降圧を行うレギュレータ、直流を交流に変換するインバーターなどだ。

 半導体デバイスの主流はシリコン(Si)にとって代わられているが、パワーデバイスでは、シリコンカーバイド(SiC)やGaNの存在感は大きい。それは、シリコンの3倍のバンドギャップを持つためで、ワイドバンドギャップ半導体とも呼ばれる。理論的には、バンドギャップが高いほど、より高温で、より高性能なデバイスが実現できる。SiCの用途としては、電気自動車などの高圧大電流領域の高耐圧デバイスであり、GaNの用途としては、通信機器電源など中圧大電流領域の中耐圧デバイスである。

 今回の発表は、高抵抗なスペーサ層を挿入(図1右)することで、高圧に対応。GaN HEMTで、気象レーダーの観測範囲の拡大や第5世代移動通信方式(5G)向けミリ波帯無線通信などへの適用を目論む。

 本技術の詳細は、8月5日から10日にポーランドのワルシャワで開催された窒化物半導体結晶成長に関する国際会議「International Symposium on Growth of III-Nitrides (ISGN-7)」にて発表した。

●高抵抗スペーサ付GaN HEMTの特長

 結晶構造において、電子供給層と電子走行層の間に、高抵抗なスペーサ層を挿入。トランジスタの大電流化と高電圧化を同時に実現することに世界で初めて成功。動作電圧100ボルトまでを実現(図2右図の動作電圧)。

●GaN HEMT(富士通と富士通研究所、スペーサ付)のテクノロジー

 国内外に約900件のGaN HEMT特許を出願。加えて、単結晶ダイヤモンドとSiCを常温で接合する技術を組み合わせることで、トランジスタ内部の熱を放熱、安定稼働を可能にした。本結晶構造を持つGaN HEMTは、ゲート幅1ミリメートル当たり世界最高出力となる19.9ワットを達成。これは、従来の6.5ワットに比べて3倍の出力だ。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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