【トヨタ・スープラとBMW・Z4】トヨタは共同開発でBMWから何を学んだのか?

2018年8月9日 08:04

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「GRスープラ レーシング コンセプト」(画像: トヨタ自動車)

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 2018年3月8~18日開催されたジュネーブ国際モーターショーで「GRスープラ レーシング コンセプト」が出展された。ジュネーブ・モーターショーは、パリ・モーターショーやフランクフルト・モーターショー、2000年まで行われていたトリノ・モーターショーなどと共に権威あるモーターショーである。

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 そこで発表されたのが、「GRスープラ レーシング コンセプト」だ。この車はBMWとの共同開発の形態をとり、エンジンはBMWを使用するという。「なぜ、市販車でなくレーシングタイプを先に発表するのか?」と疑問がわいたのだが、それは単にイメージを先行宣伝するためだけではない。技術開発の必然性が隠れている。

 最近では、自動車製造において、モデルベース開発などで開発期間を縮める施策が注目されている。たしかに、量産車にとってそれは重要な意味を持つ。いや、量産車だけでなく、いかなる開発も開発費のコストダウンと、早期の資金回収、が求められている。だから、「現場現物主義」を「時代遅れの金食い虫」と揶揄する研究者も見られる。しかし、研究開発のコスト削減、早期の資金回収がいかに大切で、いろいろな工夫がなされても、安全性の最後の砦「現場現物主義」を軽視することは論外だ。

 タカタのエアバッグの不良が見逃されてしまった原因は、これまでの車の設計、製造、整備にとって「未知の概念」だった。これを見つけ出せなかったことを、真に理解し反省すべきなのだ。未知の概念は、どこに潜んでいるのか分からないことを知ることだ。これは歴史の中で学ばなければならないことで、人類は多数の経験を持っている。

■BMWの設計手順
 トヨタがBMWと共同開発にかかった最初のころ、BMWは後に変更になる可能性のある部分を「ブラックボックス」としておかずに、変更になることを承知で図面にしていることが分かってきた。それは、トヨタの設計人にとって「ムダ」として省かねばならないところであったろう。

 トヨタは、最初から「ピュアスポーツ」を開発したかった。それは、豊田章男社長自身の体験からの要望でもあった。日本車とドイツ車の差を見せつけられていたのだ。ドイツ車は市販車であっても「レースに出れば高性能」であり、レースチューニングのやりやすさがあった。それはBMWの設計チームにとって当たり前のことで、セダンであっても「走る性能」をとことん突き詰めることが当然であったのだ。

 だから、ドイツ車は、何も「ピュアスポーツ」とわざわざ宣言しなくとも、究極の走る性能を求め、セダンなど用途に従った市販車となろうとも、高い走る性能を持ったクルマとなるのだった。そして、いざレースに出るためのチューニングを行えば、如実に表れてくる性能を持ち、それは、初めからレース仕様を同時並行で開発しているからだった。

それが理解できていると、今回のトヨタ・新型スープラは、レース仕様を先に開発して発表しているのは当然のことであり、市販車の性能にも直結するものなのだ。走行性能から導き出されたトレッド・ホイルベースなどを決め、それを前提に市販モデルのパッケージを合わせていく。

 かつて日産スカイラインGT-Rが誕生し、日本のツーリングカー選手権で勝ち始めたとき、最初4ドアセダンから始めたものを、2ドアハードトップ発売に際してはホイールベースを縮めてきたことがあった。レース性能を高める基本寸法を決めれば、市販車となっても高性能であるはずなのだ。

 BMWは全車の開発に際して、最初から徹底して走る性能を優先しているのだ。それは、筆者自身も、半世紀ほど昔から日本車とドイツ車を乗り比べてきた実際の体験による感覚で、十分に納得ができる説明だった。ここからトヨタは、現開発手法をどのように「カイゼン」していくのだろうか?興味は尽きない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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