トヨタ、燃料電池大型トラックの改良型 米で公開 航続距離1.5倍に

2018年8月1日 16:23

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改良型の燃料電池大型商用トラック。(画像: トヨタ自動車)

改良型の燃料電池大型商用トラック。(画像: トヨタ自動車)[写真拡大]

 トヨタの北米事業体であるToyota Motor North America(TMNA)は30日(現地時間)、アメリカの研究機関であるCenter for Automotive Research主催のイベントで燃料電池大型商用トラックの改良型を発表した。TMNAは、2017年の秋からカリフォルニア州で行ってきた実証実験に改良型のトラックを追加導入していく。

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 今回の実証実験は、トヨタの物流施設から排出される二酸化炭素をゼロにすることを掲げている「トヨタ環境チャレンジ」の取り組みの一環。1台目の実験車両は、港湾エリアにおいて貨物輸送を行い、これまでに約1万6,000kmを走行した。

 改良型のトラックは燃料電池パワートレーンを搭載しており、水素タンクの本数を4本から6本に増やことで、推定航続距離を約320kmから約480kmに伸ばした。また、これまでの実証実験を生かし、運転席のスペースに簡易ベッドを備えたスリーパーキャブを採用するなど、居住性と操縦性を向上。FCユニットの配置も工夫し、ホイールベースを延長せずに、先代のトラックよりも広い車内空間を確保することに成功した。

 現在、ロングビーチ港やロサンゼルス港では環境負荷が大幅にかかる貨物輸送トラックが1万6,000台以上走行している。その数は2030年までには3万2,000台にまで増加すると推定され、現にアメリカ全体でも4万3,000台以上の貨物輸送トラックが大気汚染物質を排出しながら走行しているため、深刻な課題になっている。そのため、トヨタでは水素利用の拡大を通して課題解決に取り組むとしている。

 今回のプロジェクトのチーフ・エンジニアであるアンドリュー・ランド氏は、これまでの実験を通してトラックの組立工程や車両性能の改善点をリストアップしてきたと語り、改良型では、「実験車としての性能を向上させるだけではなく、実用化も視野に入れる必要があった」とコメントしている。

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