【スバル&マツダの事業計画(5)】実質的借入金を認知できない「自己愛性人格障害」

2018年7月25日 11:31

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■マツダ「生産方式」でリード、スバル「販売戦略」でリード

 トヨタが日産に勝てたのは、「生産方式」でのリードだった。それは資金効率で上回ったからだ。同じ「フルライン車種体制」で争った時、開発費・生産在庫金利などでトヨタが上回り、日産はそれに競合するため借入を起こし、有利子負債を積み上げてしまった。その原動力は言わずと知れた「トヨタかんばん方式」だった。つまり、投資家が最も気にする「資金効率」は実は生産方式で決まるのであった。「マネーゲーム」「金融知識」では知られていなかったのだ。だから、金融の専門家が経営トップになったとき、えてしてビジネスモデルを逸脱してマネーゲームになってしまうことを恐れなければならない。

【前回は】【スバル&マツダの事業計画(4)】 マツダ、スバルどちらに軍配が上がるか?

 それで、バブル経済崩壊後に減産に追い込まれてみると、有利子負債の金利が重くのしかかった日産が、いち早く赤字に陥った。これは、不運とも、経営方針の間違いとも言える。これで勝負がつき、カルロスゴーン氏の登場となったのだ。

 現在、マツダの営業利益率は3%、スバルは9%を超えている。しかし、マツダの「グローバルスイング生産」がいつごろ効果を発揮し始め、販売がIoTに頼り始めるのがいつ頃なのか?現在はスバルが圧倒的に有利であるが、10年後はどうであろうか?スバルの現在の経営者には、販売よりの「知識の偏り」も感じられ、企業経営には「時の運」も必要なのでなんとも言えない。少なくとも確定的に言えるのは、スバルの「品質保証」が揺らいだのは現経営陣の「販売戦略優先」の経営姿勢にあることだ。根本的に崩れている「品質保証体制」を、スバルが立て直すのにどの程度の「コストアップ要因(つまり実質的借金)」があるのかが問題であろう。

■実質的借入金を認知できない「自己愛性人格障害」

 この「実質的借金」については、品質保証体制と密接に絡んでいることを、「スバル現経営陣が気付いていない状態」と見える。それは、排気ガス検査設備の更新が遅れていたことで表面化しているのだが、この間違いは、組織の作り方と運用方法に根本からの間違いがあり、それを訂正するには少なくとも3年、もしかしたら5年以上かかるものと見積もれるからだ。

 つまり、「借入金」と言っても金融機関などからの有利子負債は明白になるが、「償却不足」などでは表ざたにならない。また、組織運用の間違いなどは「借入金」の一種とも理解でき、「人の心のコントロール」(ファンダメンタルコントロール)であり、従業員の仕事に取り組む前向きな気持ちにさせる努力は大きな負担となるものだ。時間もかかることで、経営者、管理職にとっても「いばらの道」だ。これを「借金」と受け止められない経営者・管理者の多くは、「自己愛性人格障害」と言えるかもしれない。自己中心で他人の立場、気持ちを理解できない人物だ。しかし、このような偏った人物は指導力もあり、管理者として出世していることが多い。

 人格障害などの問題を企業の人事としてきちんと管理できないと、個人の問題だけでなく企業としても悲劇が起きる。この人格の偏りは「誰にでもあるもの」だが、極端な場合は、周囲の条件と折り合いがつかないので認定されることとなる。だが、見逃されて重大な問題となることもある。

 筆者の経験では多数の実例があるのが実態だが、以下は私の個人的見解で根拠は希薄だが、「東芝」が解体に至った真の原因は、この例であると感じる。また大塚家具の分裂でも、その感を強くする。それは「自らのビジネスモデル」を正確に認識できていないと感じられるからだ。また、自らの保身、立場が、周囲の立場に極端に優先している節がみられ、優先順位が曲げられた様子が見られるからだ。「周囲との妥協が不十分」ともとれるからだ。ただしこれは結果論でもある。

■「結果だけでなく、その経緯」が問題

 スバルの北米での販売はまだ順調のようで、これからのコスト負担にも問題ないことも考えられる。しかし、今すぐマツダの戦略を研究し、スバルの営業戦略と合わせると、強力な長期戦略となるだろう。マツダは、「現中期事業計画」を見ると、既に知っているかもしれない。しかしトヨタでさえリーマンショックが来るまで、マツダの戦略に気付いていなかったのだ。企業経営においては、常に計画そのものの見直しを定期的に行うことだ。その時は、「悪口」は無視することだが、情勢の変化と正当な「批判・批評」に真摯に耳を傾ける必要がある。つまり、「客観的な基準」を常に求めて検証していくのだ。「品質管理の手法」を元に、手法そのものの検証も繰り返すのだ。

 「長期経営ビジョンに優れたマツダ」、「目先の利益を追うことに優れたスバル」、「どちらが」「いつ」どの様な結果を生み出すのか?興味がある戦いだ。「結果だけでなく、その経緯」が多くの「経営者の人生感」になっていくのだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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