介護ベッド2位:プラッツが「予定している」とする新製品の収益力に期待

2024年4月28日 16:03

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 元々は「せんべい布団」派だった。それが「ベッド」派に変わったのは、6年近く前の腸捻転で入院したのが大きな契機だった。とにかく手元のボタン操作一つで、楽々と起き上がれる。加齢による腹筋の衰えで布団から起き上がるのも容易でなくなってきていたこともあり、入院を機にベッドを買い込んだ。無論、機能は病院のベッドに比べれば極限定的だが。

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 いまではもうひと稼ぎして、上場企業が作っているベッドになんとかして夜を過ごしたいと念じている。具体的には斯界の中堅企業「プラッツ(東証グロース)のベッドの人」を、狙っている。従い、同社の収益等々の動向にも目配りをしている。

 この間、芳しくない決算が続いている。2022年6月期が「9.4%減収、86.1%営業減益、16円減配16円配」、23年6月期が「1.0%減収、1億800万円の営業損失、2円減配14円配」。そして今6月期は若干なり立ち直り気味の「12.5%増収(71億円)、1億円営業利益、14円配」計画、至第2四半期の累計実績「30億3100万円、9000万円」ではあるが過去の実績を振り返ると物足りない。

 「1997年:電動ベッドPKBシリーズ発売」「2001年:介護保険適用のレンタルベッドシリーズ発売」「03年:ベッド年間販売台数1万台突破/08年:2万台突破」「08年11月:在宅用電動ベッドシリーズ発売」「10年:年間販売台数3万台/11年:4万台突破」etc。

 ベッド周辺設備でも「フットライト:夜間、ベッドの人の動きを感知しライトを点灯させる」や「自動ロック式ベッド用グリップ:ベッドから立ち上がる時、脇のロックをかけ忘れていると転倒事故などが起きやすいことを防ぐ(業界初)」「徘徊感知器離床センサー」etcなども手掛けてきた。

 そんなプラッツの収益動向がなぜヨタヨタしてしまったのか。

 前記した22年6月期、及び23年6月期の決算資料からその要因が読み取れた。「主力商品である介護用電動ベッドMioletIIIが発売から約3年が経過し、新製品の発売の遅延で14.9%の減収となった」(22年6月期決算資料)。「医療用介護電動ベッドは一般ベッド同様、長期的に減少傾向が続いており20.0%の減収となった」(23年6月期)。

 言い換えれば創業者会長の福山明利氏が常に口にしている「高品質・高機能・低価格」の(新)商品を、しばし世に送り出すことが出来なかったのが厳しい収益の背景といえる。プラッツでも、こう公にしている。「5年余り投入できなかった新機種を、年内に投入する準備を進めている」。

 本稿作成中の時価は700円台半ば水準、予想税引き後配当利回り1.4%余。「新機種投入の準備」を徐々に織り込む動きも見受けられる。新機種が実現すれば、PBR0.86倍も好材料視されてくる可能性も覚えるが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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