中国輸出関連の倒産、件数・負債総額ともに減少 商工リサーチ調査

2018年7月17日 10:02

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記事提供元:エコノミックニュース

東京商工リサーチが6月の「チャイナリスク関連倒産の調査」結果を発表。2018年上半期のチャイナリスク関連倒産は25件で前年比3.8%の減少。負債総額は93億1000万円で47.4%の減少。

東京商工リサーチが6月の「チャイナリスク関連倒産の調査」結果を発表。2018年上半期のチャイナリスク関連倒産は25件で前年比3.8%の減少。負債総額は93億1000万円で47.4%の減少。[写真拡大]

 世界経済の回復を受けて日本も現在、緩やかな回復過程の中にある。この回復過程の中で大きく寄与しているのが中国向け輸出である。中でも半導体製造装置の中国向け輸出は加速度的に増加し続けており、これが現在の回復過程の牽引役とも言われている。

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 2018年に入ってからも中国向け輸出は好調だ。その背景には米中貿易戦争があるとされ、今の景況を米中貿易戦争特需などと呼ぶ者もいる。

 10日には国際半導体製造装置材料協会が半導体製造装置の世界市場について、19年には前年比7.7%の増加になるとの見込みを発表した。18年は10.8%増加の627億ドルと過去最高を記録する見込みだ。

 この拡大見込みの背景には半導体産業の育成を国策として行っている中国が引き続き積極的な設備投資を継続すると予測されているからだ。この中国の半導体需要の高まりで製造装置市場もさらに拡大する見込みだ。

 東京商工リサーチが9日に公表した6月の「チャイナリスク」関連倒産調査結果によれば、6月の「チャイナリスク」関連倒産は2件で前年同月を下回っている。

 倒産した1件は6月5日に東京地裁へ民事再生を申請した半導体製造装置販売のインターテックだ。インターテックは軍事転用の可能性がある半導体製造装置を中国へ不正輸出したとして11年に家宅捜索を受け受注が大幅に減少し、さらに中国子会社の人件費高騰で資金繰りが悪化したため倒産に至ったとみられている。

 この他、倒産として集計されない事業停止や破産準備中などの実質破綻については6月には確認されていない。

 1月から6月までの上半期でみると、チャイナリスク関連倒産は合計25件で前年同期比3.8%の減少となっている。負債総額は93.1億円で前年同期比47.4%の減少となっており、件数・負債ともに大きく減少している。

 ちなみに年間ベースで時系列をみると、15年が101件の負債総額2391億円、16年が110件の718億円、17年が54件の389億円と17年に件数・負債総額ともに急激な減少がみられ18年は17年をさらに下回るペースとなっている。

 中国の半導体需要の高まりを背景に中国輸出関連企業は好調なようである。しかし、外為変動、人件費高騰、品質問題、労使関係、反日問題等、チャイナリスクは常に存在する。レポートでは「中国だけでなく海外への輸出入や送金は、取引管理などコンプライアンスの強化が必須」と結んでいる。(編集担当:久保田雄城)

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