認知症予防にブラジル産プロポリス 九州大らの研究

2018年6月10日 23:02

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記事提供元:エコノミックニュース

厚生労働省の調査によると、2012年時点での認知症患者は約462万人、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)は約400万人と推計されている

厚生労働省の調査によると、2012年時点での認知症患者は約462万人、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)は約400万人と推計されている[写真拡大]

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超高齢社会を迎えた我が国にとって、深刻な社会問題となっているのが「認知症」だ。厚生労働省の調査によると、2012年時点での認知症患者は約462万人、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)は約400万人と推計されている。また、同省では、認知症患者は今後も増え続け、2025年には700万人を超えるとの予測も発表しており、MCI患者数も加えると約1300万人に達し、65歳以上の3人に1人が認知症もしくは予備軍となる計算だ。

 1999年、日本の医薬品メーカー・エーザイが世界で初めて、認知症の6割を占めるアルツハイマー病の治療薬「アリセプト(一般名・ドネペジル)」を開発した。この薬は日本のみならず、世界中の認知症患者とその家族はもちろん、医療従事者たちにとっても大きな希望の光となったが、残念ながら認知症を根治するには至らず、神経細胞の伝達物質を活性化させ、進行を遅らせるものだった。同社はその後も米バイオジェン社と共同でアルツハイマー型認知症に対する新薬の開発に取り組んでいるが、17年12月に発表した新薬候補の臨床試験中間成績では、未だ有効性目標を達成できていないことを明らかにし、大きく株価を落としてしまっている。

 また、世界トップクラスの製薬会社メルクがアルツハイマー薬の開発を一部中止すると発表したのをはじめ、これまで認知症薬の開発に注力してきた世界中の製薬会社が次々と撤退を始めており、今後の治療薬開発には明るい見通しが立っていないのが現状だ。

 そんな中、認知症を「治す」のではなく「未然に防ぐ」、予防医学的な観点からのアプローチが注目されている。例えば、4月4日にオランダの国際学術誌「Journal of Alzheimer’s disease」に掲載された九州大学大学院歯学研究院の武洲准教授らのグループによる研究レポートが興味深い。

 武洲准教授らは、山田養蜂場の助成のもとで研究を進めてきたが、この度、ブラジル産プロポリスの服用により、高齢者に対する認知機能の低下を防ぐことを世界で初めて明らかにした。同研究では、山田養蜂場が販売している「プロポリス300」を患者に24ヶ月に亘って飲用させた結果、ブラジル産プロポリスは抗炎症作用を介して高齢者における認知機能の低下を抑制することが示唆された。今後も認知症予防を目的に、山田養蜂場とブラジル産プロポリスのさらなる機能性研究を進めていくという。

 プロポリスと共に、認知症予防効果が注目されているのが「ウコン(ターメリック)」だ。もっとも身近なところでは、カレーに欠かせないスパイスとして用いられているが、最近では二日酔い予防のドリンクなどがコンビニなどで販売されており、健胃作用や肝臓の不調改善の生薬としても知られている。

 このウコンに含まれるポリフェノールの一種で植物性の天然色素であるクルクミンに、アルツハイマー病を引き起こす原因を阻止したり、進行を遅らせたりする効果があるらしいことが分かってきている。こちらもプロポリス同様、今後の研究次第のところもあるが期待できそうだ。

 また、認知症は歯周病などとも深い関係があることが明らかになりつつある。薬や健康食品などに頼りきるのではなく、認知症になる前から、個人レベルでも予防を心掛けたいものだ。(編集担当:藤原伊織)

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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

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